弘前大学で活躍中の現役学生をご紹介する『在学生インタビュー』、第2回は、農家・農村サポートサークルTEAM DANBURIの代表を務める 高谷 ひかる(たかや ひかる)さんです。サークルの活動を通して得た経験や、学部での菌類の研究のことなどについて伺いました。

「TEAM DANBURI(チーム ダンブリ)」に込められた想い

—サークル名の由来と、なぜ「TEAM DANBURI」に入ったのか、経緯を教えてください。

 “ダンブリ”は津軽弁で「トンボ」っていう意味です。なぜトンボかというと、諸説あるのですが、DANBURI創設に関わった初代が、畑といえばなんだろうと考えた時に思い浮かんだのが、畑の上を空高く飛んでるトンボだったとか。この心意気を受け継ぎ、私たちも意識高く、理念をもって、「トンボ」のように飛躍していこう、という熱い想いが込められています。

 私は中学2年の時に、埼玉県から岩木山の麓でりんご農家をしている父の実家に引っ越してきました。以前住んでいたところはマンションに囲まれた都会でしたが、引っ越してきたら家の裏が山で、隣が畑。埼玉では農業に触れる機会がまったく無かったので、身近に生産の現場があるのはすごく貴重なことだなと思いました。DANBURIは畑作業のボランティア体験ができるサークルなので、他の農家さんはどういう理念をもって生産し、消費者の元に届けているのか知りたい、他の地区の農家さんと交流してみたいと思って入りました。他のメンバーがサークルに入ったきっかけは、「畑に入ってみたかった」、「りんごに触ってみたかった」、単純に「りんごが食べたい」など理由は本当にさまざまです。

弘前大学農学生命科学部3年

生産者としておいしい作物を届けられる喜び

-どのような活動をしているのでしょうか?

 DANBURIは、援農作業がまずメインです。
 援農先は今11箇所くらい。10の農家さんはりんごがメインで、1箇所が葡萄農家です。りんご農家でもトマト、きゅうり、なす、キク、カシスなども育てていらっしゃるので、いろんな作業体験ができます。収穫までずっと手伝います。自分たちが関わった農産物がスーパーのりんご売り場に並んでいるかもしれないですし、それが消費者の方の手に渡って、美味しいって言ってもらえるのであれば、私はメンバーの一員としても、生産者としても、すごく嬉しい!
 援農先の農家さんからは、ありがたいことに、若い力が借りられて助かったとか、畑がにぎやかになったとか、本当に嬉しい言葉ばかりいただいてます。やりがいもモチベーションも上がりますね。

 もう一つの活動がグリーンツーリズム。平川市の「農家蔵巡り」ガイド、横浜町の「菜の花フェスティバル」のボランティア、新和公民館との連携事業参加など。交流体験から刺激を受けるというものです。

弘前大学農学生命科学部3年
グリーンツーリズムの活動の一つ。横浜町の「菜の花フェスティバル」ボランティア

全国の農業団体との交流から受ける刺激

 外の団体と交流して刺激を受けるということも、活動の一つです。全国的にDANBURIのような団体はたくさんあるんです。そういう団体と交流しようとまとめてくれているのが、東京にある「学生団体いろり」です。6月にリーダーズキャンプ、11月にジャパンハーベストという大きなイベントを東京で企画してくれたのも、この「いろり」です。
 私が参加した時のリーダーズキャンプのテーマは「未来の第一次産業についてどう思うか」でした。現時点の農業の問題点を挙げて、解決策を考え、企画案を作り、2日間で練り上げて班ごとに発表しました。最終的に優秀賞が決められますが、賞に選ばれなくても、それぞれの企画案は実現できればすごく良いものだと思います。もう一つのジャパンハーベストは「農林漁業学園」と「大学生アワード」という部門があります。私たちが出ている「農林漁業学園」では、各団体がその地域の名産品や、自分の団体で作ったもの、加工したものを販売します。他の団体は理念や考え方が違うのでいろいろ議論を交わせますし、知り合ったご縁で鳥取の学生団体が実施したイベントへ参加するなど、活動の場が広がりました。
 他にも日本全国に4Hクラブ(農業青年クラブ)という、若い農業者が中心となった団体があるのですが、お世話になっているクラブ員の農家さんにご紹介いただき、今年の2月に東京で実施された「4H全国大会(全国青年農業者会議)」に参加し、団体としてポスター発表をしてきました。農林水産省で行われた懇談会では、4Hの志をもって農業に従事している方とお話できて、大人と農業について話す機会はめったにないことなので刺激的で、もっと農業の問題に関わっていきたいと思うようになりました。

ジャパンハーベストにて。りんごとりんごの加工物を販売

幻想的なミクロの世界に魅せられて

ー学業のことも伺います。今の学部学科を志望した理由と、研究の内容について教えてください。

 農学生命科学部生物資源学科(現:食料資源学科)は、食品、バイオテクノロジー、微生物、昆虫、病理、土壌について学べる学科です。私は品種改良をして、おいしいものを自分で作って食べられたらいいな、と本当に軽い気持ちで入学しました。でも、今所属しているのは品種改良を扱う研究室ではなく、“植物病理学”の田中和明先生の研究室です。畑で父が、「これ○○病だね」と話してくれたことがあって、植物に悪影響を及ぼすような病原菌が実は身近にあることを再認識し、それを探求してみたいと思うようになったのです。2年次の学生実験で、顕微鏡下で菌類を観察したときに、ミクロの世界が見えたのが本当に幻想的で、楽しかったことも決め手でした。

 研究室では、「菌類の同定・分類」を研究しています。「同定」とはその菌類が何者であるか、遺伝子を見て、菌類の形・大きさや、どういう生活をしているかなどを調べ、図鑑などに記載されている資料や論文をもとに種名を決めることです。菌類は、だいたい予想されているうちの本当にわずかしか判別されていません。まだ判別されていない菌類を把握していくことは、実は経済的にもとても重要なんです。例えば、稲が“イネいもち病”に感染してしまうと、その部分は刈り取って廃棄するしかありません。病原菌を把握して退治することができれば、その分のロスがなくなります。植物病原菌の多くは、菌類の大部分を占める「子のう菌類」に属しています。そこで私は、「子のう菌類の同定」という課題研究に日々奮闘しています。
 この研究室で病原菌についての知識を養い、卒業後はその知識を活かし、農業に携わっていきたいと考えています。

弘前大学農学生命科学部3年
光学顕微鏡下で見た胞子とその発芽管の様子(20171106.HIT1)高谷さん撮影

様々な人との出会いで考え方が変わる

-活動を通して経験したこと、学んだことについて教えてください。

 DANBURIの活動を通して、農業を真剣に考えている大人と関われたことは、とてもいい経験になっています。自分の家と他の農家さんの農産物を育てている理念や思いは違うけれど、最終的に結び着くところは、消費者がおいしいと言ってくれればいいなというところ。当たり前のことですがみんな共通の思いで、切磋琢磨している様子をみると不思議な力が湧いてきますね。あとは弘前を飛び出して、全国の各地域で活躍している人たちと話し、いろんな考え方を聞いて、農学生命科学部に入る前とは考え方が180度くらい変わったなと思います。私がもし純粋な弘前出身で、家の庭にりんごがあって、弘前大学に来たというのであればたぶんDANBURIには入ってない。りんごが自分の生活の日常の一部だったら、そんなに農業について考えなかったと思うんです。でも私は埼玉のマンション街の出身で、畑があることも、山があることも、視界にうつるすべてが非日常。非日常の中にはいつも新しい発見があるので、私にとってそれが全部研究心に繋がっています。埼玉出身で、弘前に来て、弘大に来て、DANBURIに入ってよかったなと思います。

弘前大学農学生命科学部3年
援農中の一場面。日々の交流の中にも新しい発見がある。

将来農業へ関わりたい人は、、、

ー最後に、TEAM DANBURIのPRをお願いします。

 将来農業に関わりたいと思っている人には、ほんとにDANBURIはおすすめできます。農林水産省に行ったり、青森県内外で活躍している農家さんのところに実際に行ったりする機会は、DANBURI以外のサークルにはないかもしれません。全国の各大学の団体もおもしろいことをしてるので、そういう団体と交流をするのも大学生活でしかできないと思います。もちろん学部問わずですし、りんごのお世話をしてみたい!という軽い気持ちでも大歓迎です。だから弘前大学に入ったらぜひDANBURIにって感じですね(笑)

弘前大学農学生命科学部3年

TEAM DANBURI 活動記録もぜひご覧ください!
TwitterFacebookも配信中です!

Profile

農学生命科学部生物資源学科(現 食料資源学科)3年
高谷 ひかるさん

農家・農村サポートサークルTEAM DANBURI代表 。
埼玉県戸田市生まれ。中学2年生のときに青森県弘前市船沢地区へ引っ越し。青森県立岩木高等学校を卒業後、平成27年4月弘前大学農学生命科学部生物資源学科(現 食料資源学科)入学。生産環境コースを選択し、 植物病理学を研究テーマとする田中和明准教授の研究室に所属。TEAM DANBURIとして農家への援農、全国の農業関係団体との交流といった活動の傍ら、実家の農園を手伝っている。