弘前大学に2018年春、「健康未来イノベーションセンター」完成!

2018年4月1日、弘前大学本町キャンパス 医学研究科基礎研究棟隣に整備していた,
産学官民の連携拠点「健康未来イノベーションセンター」が完成し、5月22日に開所式が行われました。

※開所式の様子はこちら
 『産学官民連携研究拠点「健康未来イノベーションセンター」開所式を挙行


都道府県別平均寿命が男女ともに全国最下位である青森県(2016年時点)。
県をあげて短命県返上、元気な高齢化社会の実現を目指している中で、
「健康長寿研究」の総合拠点を目指すこの施設では、今後どのようなことが行われていくのでしょうか?

弘前大学COI研究推進機構で戦略統括を担当している村下公一教授に施設を案内していただきました!

COI研究推進機構とは?
2013年に弘前大学が文部科学省・科学技術振興機構(JST)の革新的イノベーション創出プログラム「COI(センター・オブ・イノベーション)STREAM」の一つとして採択されたことで誕生。
産学官民の連携により、「短命県返上から世界人類の健康づくり」を目指し、研究開発を推進しています。本事業では、青森県弘前市で「岩木健康増進プロジェクト」として十数年間岩木地区で実施している健康調査で収集してきた2000項目にわたる健康ビッグデータを解析することで、認知症・生活習慣病などの早期発見を可能にし、予防方法を提唱してその検証を行い、さらにはその成果を社会実装していきます。

(参考)弘前大学COIホームページ http://coi.hirosaki-u.ac.jp/web/

施設外観は真っ白で、外から見ても窓が多く、明るく爽やかな印象の建物です。
建物は2階建てで、延べ床面積は840平方メートル。弘前大学附属病院の裏手側、医学部医学科・医学研究科の基礎研究棟に隣接しています。

さっそく中に入ってみましょう!

健康未来イノベーションセンター
健康未来イノベーションセンター正面から

1階「産学官民交流フロア」

まず1階は、「産学官民交流フロア」。入ってすぐのスペースは「イノベーションサロン」。
形も色もさまざまな椅子と丸いテーブルが並ぶ、交流スペースです。
思わず全部に座って感触を確かめてみたくなる変わった椅子。遊び心が感じられます。

健康未来イノベーションセンター
1Fイノベーションサロン

未来の健康診断を考える「新型健診プログラム開発室」

入口正面を進むと赤・青・黄・・・これはまた色とりどりの椅子が並ぶ広い部屋が。
こちらは「新型健診プログラム開発室」。机や椅子はあえて可動式のものを配置しています。
運動教室なども想定して、いろいろな目的に応じて組み変えられるようなスペースにしているとのこと。
パーテーションで区切って個室を作り出すことも可能です。

ーすごくデザインに凝っている気がします。

村下先生:そうなんです。こういう見た目とか、脳に刺激を与えるような変わった色だったりにこだわってます。2階の「オープンラボ」もカラフルだよ。
オープンイノベーションって言い方しますけど、いろんな立場の人がひとつの空間で混じり合って、いろいろ刺激し合って、そこから新しい価値のあるアイディアが生まれるんだよね。そういう場にしていきたいっていうのがこの施設のコンセプトだから。変わった家具を置いたり、いろんな刺激がある場所にしたかったんだよね。

ー「新型健診プログラム開発室」についてもう少し詳しく教えてください。

村下先生:コンパクトに健康状態をチェックできるような機能を持った、新しい健診をここで実証的にやる。「健康未来イノベーションセンター」は、それを目的に作った施設なんだよね。岩木では2000項目の健診をしているんだけど、そこから絞り込んだ数十項目で、「メタボ、ロコモ、口腔保健、うつ病・認知症」の4つの重要な切り口から健診を実施しようと。それを「新型健診」と称して、2時間くらいで健康のチェックをして、最終的に本人が意識を変えて、行動を変えるところまで行える仕組みを開発しようとしています。
健診って普通1か月後とか忘れたくらいの頃に結果が返ってくるじゃない?そうじゃなくて、検査してぐるっとまわって、終わりましたって時にはその人が検査した結果が全部手元に返ってくると。で、その結果を見ながら「あなたはこうだから、もっとこうしなきゃいけないよね」っていうのを教育という形で伝えられる。
そういうプログラムをここで開発して世の中に普及していくと。青森の人たちがなぜ短命かというと、健康に対する知識がなかなか足りていないっていうことがよく言われるんですよね。それを解決するための一つの方法論として、この新型健診を世の中に提唱していこうとしています。

健康未来イノベーションセンター
1F新型健診プログラム開発室

全国から研究者が集まる「オープンラボ」

続いて、2階へ進んでいきます。

2階は「イノベーション創出フロア」。
まずは階段を上がって右手側、「オープンラボ」へ進んでいきます。
伺っていた通り椅子も床もカラフル。1階同様に窓が多く、明るい空間が広がっています。
机は上下昇降式。高めに設定して立って仕事をすることも可能です。座りっぱなしのデスクワークは健康に良くないといいますし、働く人の健康にも配慮されているようです。

ーこちらはどのような部屋なのでしょうか?

村下先生:COIの参画企業が共同研究講座を開設しているんだけど、そこの研究員の人たちがここに常駐してお仕事をしたりします。普段ここでデータの解析をしてるんですよ。荷物保管用のロッカーもあって、企業の方がそれぞれ使用しています。参画企業間や大学間、自治体、学内の研究者との打ち合わせなどでも活用していく予定です。国内外の有名企業の人たちがここに集まるということは、学生にとってもそういう人たちと交流する機会もできてくるということなので、大きい意味があると思うよ。


COI事業の特徴のひとつが「アンダーワンルーフ」。一つ屋根の下で、大学や企業の関係者が議論し、一体となって研究開発に取り組むイノベーション拠点を構築する、ということですが、「健康未来イノベーションセンター」が “一つ屋根の下” を実質的に体現する拠点になるのですね。弘前大学COI事業が始まって5年ですが、これからますます取組が加速しそうです。

健康未来イノベーションセンター
2Fオープンラボ

最先端の機器類。スーパーコンピューター「IWAKI(いわき)」導入

続いて、健康未来イノベーションセンター整備に伴って導入された最先端の機器類を紹介していただきました。

オープンラボと隣接している最先端機器室には質量分析装置などを設置。弘前大学としても初めて導入した機器が並びます。
オープンラボの向い側の奥の部屋、クリニカルシーケンサ室では、本学や参画企業の研究者が、遺伝子や腸内・口腔内フローラと健康の関係を明らかにするために、ヒトゲノム、マウスゲノム、腸内フローラやメタゲノム解析などに使用する機器が設置されています。
そして隣接するサーバ室にはスーパーコンピューター(以下スパコン)「IWAKI(いわき)」を設置。こちらを使って2000項目、世界最大と言われる岩木の健診データを解析します。スパコンの規模は県内最大。今までも他大学の教員とコラボしてデータ解析を行ってきましたが、本学にもスパコンが導入されたことにより、自前でかなり高度な解析ができるようになります。

施設を一通り案内していただきましたが、2階の廊下はよく学生や教員が行き交っています。医学部附属病院の臨床研究棟と医学部医学科・医学研究科基礎研究棟と廊下で繋がっているんですね。こんなオープンな場がこれからどんなイノベーションを生み出していくのか、、、期待が高まります。

健康未来イノベーションセンター
「IWAKI(いわき)」の心臓部分CPU(演算装置)と村下教授

短命県返上に向けた中核的な拠点としての「健康未来イノベーションセンター」

ここで、さきほどのオープンラボで村下先生から施設のコンセプトやCOIの今後のことなどを、もう少し詳しく伺いました。

ー健康未来イノベーションセンターのコンセプトをもう一度改めて教えてください。

村下先生:短命県返上という医学部全体で目指している一つの目標を達成するための拠点にしようというのが「健康未来イノベーションセンター」の名前にも込められてますね。普通は「医療センター」とか「医療」という言葉を使うと思いますけど、あえて「健康」としているのは、予防医学的な視点を重視しているから。病院もそうですが、病気になった人をいかに最先端の科学・技術で治療できるかという方に重きがあった訳ですけど、病気にならないようにするためにどうしたらいいか、予防的な観点で考えていきたいという意味を込めています。

ー今後どのように活用していきたいと思っていますか?

村下先生:大学に来て、健康の勉強をしたいってニーズはけっこうあるんですよね。私もいろいろな県内の市町村に呼ばれて講演をしたり、逆にお越しいただいて健康に関する講義をしたりしています。いろんな市町村や市民グループの方にお越しいただいて、ディスカッションやワークショップをしてもらえる場にもなればいいと思いますね。市で実施している健幸リーダーの育成や、企業の健康づくりもここで実施していく予定です。
短命県返上にむけて、弘前大学がいかに貢献できるかを担っていくための中核的拠点であるべきだと思ってますから、健康や予防医学に関する研究の中心的拠点であり、なおかつ市民のみなさんがここで健康のことを学ぶような、そういう拠点にしていければと思っています。
学生にもこういう開放的な施設でより健康のことの最先端の研究を学ぶ場所にもなってほしいですね。

健康未来イノベーションセンター

ー最後にCOI事業の展望について教えてください

村下先生:さっき説明した「新型健診」を青森県がよくなるためのひとつの方法として開発できたならば、当然、世界の途上国のいろいろな人たちにも役立つはずです。アジアのいろんな途上国は、日本と同じように少子高齢化へのプロセスを踏んでいます。青森に新型健診を普及していくことによって、青森県の短命県返上にも繋がるし、その成果で世界の健康づくりにも貢献していくと。弘前大学発で。というのを最終的なゴール、目的にしています。



短命県返上から世界人類の健康づくりへ。
健康未来イノベーションセンターが整備されたことで弘前大学COI事業の取組がより充実していくことでしょう。

弘前大学発の寿命革命!健康社会の実現へ向けた取組に、今後もぜひご注目ください!