自分で時間割を決める大学の授業。教養教育科目や専門教育科目など、様々な科目がありますが、大学生ってどんな授業を受けているのでしょうか?
今回は、教養教育科目の中から、「データサイエンス基礎」をご紹介します。
各学部・学科ごとに分かれて、データ活用の知識や統計処理スキルを学び、データに基づいた分析力を身につける授業です。
そのうちの一つ、人文社会科学部 文化創生課程のクラスを取材しました。
科目情報
| 科目名 | データサイエンス基礎(教養教育科目) |
|---|---|
| 履修時期 | 1年次前期 |
| 担当教員 | 各学部・学科ごとのクラスに分かれ、各学部所属の教員が担当 |
※本記事の内容は取材時点のものです。
Interview先生インタビュー
「データサイエンス基礎」の科目構成を担当している、教育推進機構の徐 貺哲(じょ きょうてつ)助教にお話を伺いました。

― 「データサイエンス基礎」はどのような科目なのでしょうか?
データサイエンス基礎は、全ての学部学生が1年次に必ず履修する科目で、統計科学をはじめとするデータサイエンスの基礎的な知識とスキルを学びます。
データや人工知能(AI)が社会でどのように活用され、新たな価値を生み出しているのか理解するだけでなく、学生自身で実際にパソコンを用いてデータを可視化し、回帰モデル*を使って分析・説明できるようになることを目標にしています。
データやAIは便利な反面、取り扱いに注意が必要な場面もあります。授業では、倫理的な問題や、負の側面についても学生たちに伝え、理解してもらうことも大切にしています。
*回帰モデル:データの関係性を予測するための統計的手法。データに相関関係があるかどうかを調べる際などに使われる。


― 授業の特色を教えてください。
単なる知識の習得だけではなく、PPDACサイクル*を駆使した「課題解決型実践学習」が最大の特色です。
学生は、パソコンで表計算ソフト(Excelなど)を用いたデータ分析を行い、現実的な課題の解決策を探究します。
*PPDACサイクル:統計的探究プロセスのひとつで、次の①~⑤の単語の頭文字をつなげたもの。
①Problem(問題の発見)、②Plan(調査の計画)、③Data(データ収集)、④Analysis(分析)、⑤Conclusion(結論)

さらに、データサイエンス基礎で学んだスキルは、1年次後期の必修科目「地域学ゼミナール」へつながります。
地域学ゼミナールでは、異なる専門分野のバックグラウンドを持つ学生がチームを組み、データ分析に基づいて青森県特有の社会問題に対する解決案を提案します。この演習を通じて、分析技術を身に付けるだけでなく、実践的な協働力も養うことができます。
AI技術の急速な進化とその社会への影響を、直感的・事例ベースで学ぶことで、「見通す力」「解決していく力」「学び続ける力」という、データ駆動型社会で不可欠な3つの力を、1年次という早い段階から体験的に育むことが、この授業の大きな特色であり魅力です。

続いて、授業担当教員のひとり、人文社会科学部の花田 真一(はなだ しんいち)准教授にお話を伺いました。

― 授業実施にあたって、工夫していることを教えてください。
授業の際、特に人文学系の学生からは「データサイエンスを学ぶ必要があるのか」「自分の学びに関係あるのか」といった疑問の声がしばしば聞かれます。
そこで、授業では歴史学・文学・民俗学といった人文学系を中心に、社会科学も含めていわゆる「文系」の分野でどのようにデータサイエンスが活用されているのかを具体的に紹介しています。
また、社会や文化に関するデータを扱う際には、自然科学のデータとは異なる留意点があることにも触れ、より多角的な理解を促しています。

― 授業では学生のどのような力を伸ばしたいと考えていますか。
私は人文学系のクラスを担当しているので、学生には「計算ができる力」よりも、「データを通じて他者と対話できる力」を身につけてほしいと考えています。
「データサイエンス」と聞くと、どうしても数式や計算が思い浮かびがちです。しかし本当に重要なのは、「どのような目的でデータを扱うのか」「その分析結果をどのように解釈し、人に伝えるか」という点です。
たとえば、専門家に分析を依頼する場面では、適切な依頼をするために、自らも分析の基本を理解し、目的を明確に伝える力が求められます。また、得られた結果を文化や社会の文脈に照らして読み解くには、データから意味を引き出す翻訳の力が必要になります。
この授業を通じて、データを起点とした対話ができる力を、学生の皆さんにぜひ育んでもらいたいと願っています。


Student’s Voice受講生インタビュー
花田先生が担当するクラスの受講生、人文社会科学部 文化創生課程1年 大刀 実輝(だいとう みき)さんにお話を伺いました。

― まずは、授業を受けての率直な感想を教えてください。
もともとパソコンがそんなに得意な方ではないので、「思っていたより難しいな」と感じています。
分からないところは授業で詳しく説明されるので問題無いのですが、「分散や標準偏差はExcelでこのように計算します」といった話を授業で聞いた時に、「分散や標準偏差ってそもそもなんだっけ?」ということもあったりして。
求めたいデータについて理解したうえで、どんな数式を使うのかを覚えないといけないので、難しいなと思うところはあります。
― 授業で難しいところがあったときは、どう対応されているのでしょうか?
先生に質問することが多いですが、ティーチング・アシスタント(TA)をされている大学院生の方に助けていただくこともあります。
毎回、実践問題を解くんですが、何をどうすればよいのかわからないときもあって。呆然としていたら、TAさんから「大丈夫ですか?」と声をかけてくださって、解き方を教えていただきました。
授業外でも質問できます!
「データサイエンス基礎 学習相談室」

授業で質問できなかったことを、授業時間外に相談できる場所です。
4月~7月の期間に週に1回程度、総合教育棟1階「学習サロン」で相談できます。
パソコン・Excel操作などの初歩的な質問から、データ分析の手法などデータサイエンス科目で学習する内容まで、先輩学生が幅広く質問にお答えします。
― 授業で印象に残っていることや「勉強になった」「おもしろい」と思ったことはありますか?
毎回、先生がその回の授業内容に関わる補足説明をしてくれるんですけれど、文系ならではのデータ活用方法を紹介してもらえるので、楽しみにしています。
特に面白かったのが、「シャーロック・ホームズ」の登場人物がどのような笑い方をするのか、ホームズの作品で使われている言葉をもとに、AIと統計ソフトで分析する話でした。
シャーロック・ホームズが好きというのもあるんですが、これまで、数学が苦手だったり、パソコンは難しそう……という苦手意識を持っていたので、「文学でも使えるんだ!」ということに親近感がわいて面白かったです。

― 授業を受けてみて高校までの授業と違いを感じたところを教えてください。
高校の時よりも実用的なことを学ぶんだなという印象があります。
高校では、「二進数」や「画素数」といった単語や求め方を勉強していましたが、この授業では、AIの扱い方やExcelの使い方など、これから研究や社会の中で使うようなことを、より実践的に学んでいるところに違いを感じます。
― 授業で学んだことを、今後どのような場面で活かしていきたいですか?
まだ将来のビジョンは全然決まってないんですけれど、先生の補足資料で紹介されていたように、これから専門の勉強を進めていったときに、AIやデータを活かせる場面があるかもしれないなと思っています。
ほかにも、この先就職してExcelを使う時もあると思うので、そのときに、学んだことを役立てられたらいいなと思っています。
研究などの専門的な場面だけでなく、日常生活の中にもデータが活用されていて、データやAIは誰にとっても身近な存在です。
「データサイエンス基礎」は、世の中にあふれるデータの意味を読み解き、使いこなすヒントが学べる授業でした。


