卒業生の活躍をご紹介する『卒業生インタビュー』、第22回に登場するのは、有限会社リンゴミュージックの瀬戸紀龍さん(せと きりゅう)さんです。リンゴミュージックに所属するボーカルユニット「ライスボール」のマネージャーを務める傍ら、地域企業や自治体に向けた広告・プロモーション支援など、広告代理店業務にも携わっている瀬戸さんに、現在の仕事内容ややりがい、大学時代の印象に残っている出来事、そして将来の展望について伺いました。

「将来を想像できない方がワクワクする」と感じリンゴミュージックへ

— 有限会社リンゴミュージックへの就職の経緯・理由を教えてください。

リンゴミュージックとの最初の関わりは、人文社会科学部の授業「インターンシップA*」の中で同社で実習を行ったことでした。授業終了後もご縁があり、継続してリンゴミュージックの活動をサポートしていました。

一方で、並行して就職活動にも取り組んでいました。当初は青森に残るつもりはなく、北海道や首都圏を中心に就職先を探していました。実際に有名企業から内定をいただき、入社に向けた準備も進めていました。

そんな中、リンゴミュージックから就職のお誘いをいただきました。就職活動を通じて出会った企業はいずれも知名度が高く、魅力的な企業ばかりでしたが、入社後の働き方や10年後の自分の姿までが比較的容易に思い描けたことで、「本当にそれで良いのだろうか」と悩むようになりました。

最終的な決め手となったのは、「将来を想像できない方がワクワクする」と感じたことです。条件面では他社の方が良く、周囲から反対の声も多くありました。それでも、今しかできない経験があり、自分次第でさまざまな可能性を切り開けると感じ、最終的にリンゴミュージックへの入社を決断しました。

インターンシップA*…地域内の企業を調査し、自身のキャリアを踏まえてインターンシップ先を選定した上で、企業の経営者や従業員の指導のもと実務を体験する授業。県内企業での実施にあたっては、青森県が抱える課題をテーマに、その解決策を考える。

リンゴミュージックのイベントの様子

ライブを楽しむファンの姿が大きなやりがいに

— お仕事の概要、現在のご自身の主な仕事内容を教えてください。

弊社所属のボーカルユニット「ライスボール」のマネージャーとして、スケジュール管理をはじめ、メディアやイベント出演に向けた打ち合わせ、ミュージックビデオの撮影補助、SNSの更新などを担当しています。また、グループの認知度向上やファンの満足度向上を目的とした戦略にも携わり、実際にイベントの企画・立案も行っています。

打合せの様子
打合せの様子
ライブがある時には、ライブ運営全般に加え、新規グッズの制作管理も行います。グッズのデザイン自体は外部に委託していますが、制作するグッズの企画立案やデザインイメージの共有、発注数の決定、販売価格の設定なども重要な業務の一つです。さらに、イベントの規模によっては、ライブで使用する音響機材の設置作業やオペレーションを行うこともあります。

ライブの時はオペレーション業務も行う
ライブの時はオペレーション業務も行う
リンゴミュージックは芸能事務所でありながら、広告代理店業務も行っています。生徒募集に向けた学校パンフレットの制作や企業のPR動画制作など、芸能とは直接関係のない案件もあり、幅広く多様な業務を担当しています。



— 仕事をしていて、楽しさややりがいを感じるのはどんなときですか?

弊社のタレントが活躍する姿や、ライブに来てくださったファンの方々が満足して帰られる姿を目にした時に大きなやりがいを感じます。中でも、ライスボールが大きなフェスのステージに立ち、それを目当てに多くのファンが会場へ足を運んでくださったときには、その光景を見ただけでライブ前から感動しました。

また、弊社は「音楽を通じ、地域や一次産業を活性化すること」を目的としているため、実際に現場で働く従事者の方々から感謝の言葉をいただいた時や、私たちの活動が多くの人に夢や感動を届けられていると実感できたときに、より一層の喜びを感じます。

ライスボールのライブには多くのファンが来場

「地方×エンタメ」で情報発信し、地域活性化に貢献したい

— 今後、どのように働いていきたいですか?将来の展望などを教えてください。

「何もない」と言われがちな青森ですが、だからこそ青森が多くの人にとって魅力的な地域だと感じてもらえるよう、「地方×エンタメ」で情報を発信し、地域活性化に微力ながら貢献したいと思っています。

また、大きな可能性を秘めたタレントや、クリエイティブな発想を持つ周囲の人たちと協力しながら、多くの人に夢や活力を届け続けていきたいです。そのためにも、タレントがより大きな影響力を持つ存在へと成長できるよう、さまざまな企画を立案し、全力でサポートしていきたいと考えています。そして、多角的な視点で物事を捉えられるよう、幅広い仕事に挑戦し続けていきたいです。


ライスボール10周年記念ライブにて、出演者・スタッフで記念撮影

ビジネス戦略実習で、風間浦村の認知度向上に貢献

— 学生時代についてお聞きします。大学の授業で、特に印象に残っている授業はありますか。

人文社会科学部社会経営課程企業戦略コースの必修科目である「ビジネス戦略実習」が特に印象に残っています。この科目では、企業の方から実際の課題をいただき、これまで学んできた経営学や会計学の基礎知識を実務に結び付けて考える取り組みを行いました。

実習はゼミ単位で行われ、私たちのグループは「風間浦村の活性化」をテーマに取り組みました。所属していたゼミでは地域ブランドについて研究していたため、「風間浦村をどのようにブランド化できるか」が大きなテーマとなりました。県外出身の私にとって、風間浦村は一度も訪れたことのない地域だったので、まずは行政資料に目を通し、地域の基礎情報を把握することから始めました。

当時、実習に協力くださった青森物産振興協会の村上さん(現 中水青森中央水産 営業企画室 室長)から、「現場を実際に見て、感じて、生の声を聞くことが重要」というアドバイスをいただき、そこで実際に風間浦村を訪れました。役場の担当者の方や観光従事者との意見交換をはじめ、卸売市場の見学といった地域企業の視察をさせていただきました。

また、風間浦村の認知度を上げるため、学生食堂で風間浦村の食材を使用したメニューを提供する企画を考えました。まずは身近な学生や教職員に知ってもらうことを重視し、風間浦村の業者の方や弘前大学生協の方と、商談に近い形で打ち合わせを重ねました。双方にとってメリットのある形を意識し、「三方よし」の考え方を大切にしながら取り組んだことで、非常に充実した実習となりました。

この取り組みは県内のテレビ局にも取り上げていただき、微力ながら風間浦村の認知度向上に貢献できたのではないかと感じています。また、持続可能な取り組みにするため、あえて補助金を活用しないという強い意志を持って実習に臨みました。現場を見る重要性を実感するとともに、企画・運営やポスター制作、アンケートの実施・集計などを一貫して経験し、実務を通じて多くの学びを得ることができました。

卸売市場視察の様子
卸売市場視察の様子
学生食堂にて風間浦村の食材を使用したメニューを提供
学生食堂にて風間浦村の食材を使用したメニューを提供

多くの人と関わる経験が知識や視野を広げるきっかけに

— 大学での学びや経験が社会人になって活かされていると感じるときはどんなときですか。

勉強だけでなく、多くの人と関わる機会があったことが社会人になった今でも活かされていると感じています。総合大学である弘前大学では、多くの留学生と交流する機会がありました。授業の空き時間や放課後に大学の業務をサポートする「ワークスタディ」としてイングリッシュラウンジの受付を担当しました。そこで出会った留学生や日本人学生とは、社会人となった現在も交流が続いており、学生生活を通して多くの出会いに恵まれたと実感しています。

また、「弘前さくらまつり」や「ねぷたまつり」、「菊と紅葉まつり」といった地域イベントでのアルバイトも経験しました。さくらまつりでは中濠観光船の受付を担当し、県外の方や海外の観光客などさまざまな方とコミュニケーションを取る機会がありました。また、多くの観光客が訪れる有名なお祭りにスタッフとして参加する中で、祭りの歴史や弘前の街について学ぶ良い機会にもなりました。

さらに、授業を通じて企業の方や社会経験豊富な方々と関わる機会があり、自身の知識や視野を広げる機会が数多くありました。正解のない問いに向き合い、多様な意見に触れる中で、物事を多角的に捉え、客観的に考える力を身につけることができたと感じています。

自分の直感を信じ、たくさん挑戦をしてみて

— 弘大生やこれから大学を目指す受験生へメッセージをお願いします。

将来どうなりたいか、どのような仕事に就きたいかは、人生の節目ごとに考える機会があるものだと思います。私自身、大学生の頃は、今のような仕事に就くとはまったく想像していませんでした。弘前大学への進学も、現在の会社との出会いも、振り返ってみれば偶然の連続だったと感じています。そのため、これから自分がどのような道を歩むのかは全く想像できません。唯一言えることは、これまでの選択はすべて自分の意思で決めてきたということです。

— 弘大生の皆さんへ —
社会に出る前に、自分自身についてじっくり考えられる最後の時間が大学生活だと思います。勉学に励むも良し、バイトでいろんな経験をするも良し、とにかく遊びつくすも良し。自由がある分責任は伴いますが、やりたいことをとことんやれる時期です。弘前大学で過ごした大学生活が大きな財産だったと言えるよう、今を大切にしてください。

現在は「人生100年時代」と言われ、転職も当たり前の世の中です。就職活動では自己分析を行いますが、実際に社会に出てみないと分からないことも多くあります。ぜひ自分の直感を信じ、たくさんの挑戦をしてください。

— 受験生の皆さんへ —
弘前大学が第一志望の方も、そうでない方もいると思います。受験では偏差値を基準に進学先を選ぶことが多く、難関大学に進学できなかった場合に「失敗」と感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、社会に出ると出身大学の名前だけで評価されることはありません。どの大学に進学したとしても大切なのは、大学生活をどのように過ごしたかです。合否だけで判断せず、その後の大学生活で目的を持って生活してください。

大学に進学すると、高校生活とは比べものにならないほど世界が広がります。新しい出会いや経験が数多く待っています。ぜひ、楽しい大学生活を思い描きながら、受験勉強を頑張ってください!


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Profile

有限会社リンゴミュージック
瀬戸 紀龍さん

弘前大学人文社会科学部社会経営課程卒 。
北海道北広島高等学校を卒業後、人文社会科学部社会経営課程企業戦略コースに進学。在学中は黄孝春教授(経営学)のゼミに所属。地域ブランドについて研究し、青森県風間浦村の活性化や認知度向上を目的とした課題に取り組む。2024年4月、弘前市を拠点にタレント・アーティストのマネジメントやライブ・イベントの企画制作を行う有限会社リンゴミュージックに入社。ボーカルユニット「ライスボール」のマネージャー業務を担当する傍ら、地域企業や自治体に向けた広告・プロモーション支援など、幅広い業務に携わっている。