卒業生の活躍をご紹介する『卒業生インタビュー』、第23回に登場するのは、株式会社 ORANDO PLUS 代表取締役の石山 紗希(いしやま さき)さんです。弘前市を拠点に、課題解決やチャレンジする人たちの伴走支援やコミュニティづくりなど、幅広く「まちづくり」に取り組んでいる石山さんに、現在の仕事内容ややりがい、大学時代の印象に残っていること、将来の展望などを伺いました。
地域外の人と弘前のまちや人をつなぎ、人の循環を創り出していく
— 株式会社ORANDO PLUSを創業した経緯・理由を教えてください。
2018年に起業型地域おこし協力隊のコーディネーター(事務局)で着任し、私含め9名のメンバーが弘前に移住しました。その事業拠点として2019年にオープンしたのがHIROSAKI ORANDO(以下、オランド)です。メンバー皆が精力的に活動し、事業者や市民を巻き込み、オランドでの出会いやコラボレーションがたくさん生まれました。
移住者支援や大学生のインターンシップ受け入れなど、地域外の人と弘前のまちや人をつなぐ事業を行っていく中で、そうした人の循環をいっそう創り出していくために2022年、オランドの2階部分にゲストハウスを開業することにしました。株式会社ORANDO PLUSはそのタイミングで創業した会社です。
— お仕事の概要、現在のご自身の主な仕事内容を教えてください。
周りからは「まちづくり」と言われる仕事をしています。具体的には、①ソフト面(人づくり)と②ハード面(場所づくり)の両輪を組み合わせた事業を行っています。一般社団法人と株式会社の「2足のわらじ」で仕事をしていて、事業によって使い分けています。
①ソフト面は外部人材を活用した地域の課題解決やチャレンジの伴走支援(中間支援のコーディネート) で、移住者支援や関係人口創出、大学生向けプログラムなどです。
②ハード面は主にオランドの運営で、その中でコミュニティ(人が溜まるコンテンツ)づくりを行っています。オランドの機能としてはカフェ、ギャラリー/イベントスペース、ゲストハウス、雑貨販売、イベント企画などがあります。
チャレンジやアクションをする人の循環を増やして、青森を面白い地域にしていきたい
— 仕事をしていて楽しさややりがいを感じるのはどんなときですか?
地域側と外部人材の両者のニーズがかみ合って、お互いがwin-winなプロジェクトをつくり、コーディネートができたときはとてもやりがいを感じます。
例えば、「弘前ねぷたまつりの人手不足」という課題を抱えている町会と、「まつりに関わってみたい」という青森県外の人をマッチングするプログラム『Entre!(アントレ)』は5年目になりました。約1週間オランドに滞在しながら、一緒にまつりの準備~運行~片付けを行います。これまで6町会、70名を超える参加者がいて、毎年ねぷたに“帰省”するリピーターが7割近くいます。
弘前市内の中小企業と、首都圏の社会人を兼業プロジェクトで繋ぐ事業も行ってきました。企業側の人手不足からくる「重要だが優先順位が低く、手を付けられていないこと」「自社に専門家がおらず、知見やノウハウがない」部分をプロジェクト化し、兼業に関心を持ち「自分の専門性を地域で活かしたい」と思っている両者をつなぎ、伴走支援します。具体的には伝統工芸の事業を営む会社のECサイトの売上をアップしたいというニーズと、本業でWebマーケティングを行っている東京の20代女性をマッチングし、約半年間オンラインでそこの目標に向けて仲間の一員として共に動いていきました。
このようにコーディネートの仕事は目に見えづらいのでイメージしてもらいにくいことが多いです。でも、データや数字に載りきらない地域の可能性や面白さをすくいあげ、プロジェクト化できる能力や役割は絶対に必要だと思って仕事をしていますし、面白いですね。良くも悪くも属人的な動き方なので、自分にしかできないと感じるポイントも多く、その分大変ですがやりがいはあります。
あとはオランドという場所を持っていることで、弘前市内外、国外問わず様々な人と出会うことができ、また気軽に再会したり関わってもらいやすいことは運営していて良かったと思えますね。
私の仕事はステークホルダーがとても多い(自治体、企業、起業家、住民、移住者、関係人口、学生等)ので、彼らと話すと自分が知らないことがたくさん出てきて、好奇心をくすぐられる機会が多いのも個人的には楽しいです。
—今後、どのように働いていきたいですか?将来の展望などを教えてください。
私は持続可能な地域とは、その地でチャレンジやアクションをする人が脈々と生まれ続けることだと考えています。そんな人の循環をもっと増やして、青森を面白い地域にしていきたいです。
引き続き弘前に拠点を置きつつ、もっとたくさんの現場にも足を運んでいきたいです。やっぱり現場で動いている人はかっこいいし、関わっているとワクワクします。そこから課題や困りごとを見つけて、自分ができるコーディネートの仕事を増やしていきたいです。
あとは自分より下の世代(20代)が、チャレンジをする場所、成長する場所として弘前(青森)を選んでいく人をもっと増やしたいですね。
大学生活を弘前で過ごさなかったら、今のような仕事はしていなかった
— 学生時代について教えてください。大学生活で印象に残っていることはありますか?
サークルや学生団体など、学内での取り組みは全然参加しておらず(すみません)、授業実施期間中にアルバイトでお金を貯めては長期休みの度に海外に行く学生でした。
大学1年の春休み(初海外)の海外資金を貯めるため、手っ取り早く3ヶ月くらいで稼ごうと、時給が高かったチェーン店の居酒屋で1年後期からアルバイトをはじめました。が、仕事が出来なさ過ぎて、店長にめちゃくちゃ怒られていて&怖くて辞めるに辞めることができず、結局卒業まで同じアルバイトを続けました。途中で店長も変わり、仕事も覚えて楽しくなって、バイト仲間とも仲良くなり、夜な夜な飲み明かして「THE 大学生!」な時間を過ごせたのは良い思い出です(バイト仲間とは今でも仲良しです)。
大学3年の春休みに、元青年海外協力隊(以降:JOCV)の方とシリアへ行ったことは、今振り返ると転機でした。海外って面白いな、もっと深く関わってみたいなと思っていたタイミングで、弘前大学の卒業生であり、果樹(りんご栽培)の活動をしていた元JOCVの方と一緒にシリアへ行くことができました。現地では、農家の方々へ青森のりんご産業について紹介するなどの交流をしてきました。
元々知っていてなんとなく興味はあったJOCVでしたが、これによってより身近になり、青森県内の元JOCVとも繋がり、日本の会社で働く自分よりも、どこか途上国と言われる国で汗水たらして農業をしている自分の方がはっきりイメージできて、途中で就活を全部辞めてJOCV一本に絞りました(笑)。進路が決まったのは卒業式の1ヶ月前、大学4年生の2月です。

大学での学びとしては、研究室選択の際、元々は別のコースを予定していたのですが、結果的に農業経済のコースに進みました。研究室訪問の際、お酒を飲んだ神田 健策先生の話がめちゃくちゃ面白く、「この人のゼミに入りたい!!」と思い、翌日研究室を訪ねました。
当時の神田先生は、副学長で多忙だったこともありゼミ生は取っていなかったのですが、私の謎の熱意でゴリ押しし、最終的に「石塚先生との合同ゼミだったらOK」とお許しをいただきました。当時関心が高かった海外の農業事情などを学べたことや、海外をフィールドに活動している人たちの生の話を聞けた(先生方含む)ことは大きかったです。あと肝臓もめちゃくちゃ鍛えられました(笑)。

— 弘前大学での学びや経験が、社会人になって活かされていると感じるのはどんなときですか。
授業のフィールドワークなどで弘前以外の市町村にも行く機会もあり、「同じ県内とはいえ、青森って色々あるんだなあ、全然違うんだなあ」と思った記憶はあります。
弘前での4年間はとても楽しく、まちも魅力的で、大学生活を弘前で過ごさなかったら戻って来て今のような仕事はしていなかったと思っています。「学ぶ街は、暮らす街でもある。」という弘前大学のキャッチコピーがとても好きで、まさに自分の弘前での4年間を表していると思います。
色んな生き方や働き方を、ぜひ学生時代に触れてみて
— 弘大生やこれから大学を目指す受験生へメッセージをお願いします
私は大きな目標やこれがやりたい!ということが特にない状態で弘前大学に入学した学生でした。その中でも、「なんとなく関心がある」こと(私の場合は海外)を、より「具体的なやりたい」に昇華できた大事な4年間だったと感じています。それに、弘大の先生方や友人などとの出会いやさまざまな経験を通じて、学びを深めることができる環境に身を置くことができたのが私にとって大きな機会でした。
弘大は様々な方面で成長できる機会や環境があると思います。そのためには受け身ではなく、自分が求めにいくなど主体的に動けば動くほど、そのチャンスはめぐって来ると感じています。
私は何の仕事をしてるかわからないと未だによく言われますが(笑)、実は皆さんが知らないだけで、世の中には様々な仕事があります。色んな生き方や働き方をぜひ学生時代に触れて知ってほしいです。そしてそのうえで「自分がどうありたいのか」を「自分で決めていく」ことが大切だと思っています。
学生時代は色々考え悩むことも多いと思いますが、意外となんとかなるから大丈夫!(笑)
学生のみなさんへ、石山さんからメッセージ
昨年から弘前の大学生向け実践プログラム『わ!』を運営しています。関心ある方はぜひご連絡ください♪
また、運営するオランドでは「恩送りカード」という、大人が地域の学生にドリンクを1杯(金額分)ごちそうする取り組みも行っています。メッセージ付きカードを黒板に掲示しているので、ぜひ勉強しがてら使いに来てください!
HIROSAKI ORANDO 公式ホームページ
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