弘前での生活や、授業・研究以外の活動にもフォーカスして弘大生のリアルに迫る『ひろだいLIFE』。
今回新たにスタートする企画、その名も「弘前でともに暮らす」。
2022(令和4)年に弘前大学人文社会科学部を卒業し、北海道出身でありながら在学時から弘前の街を存分に満喫してきた鎌田 翔至(かまだ しょうい)さんが、さまざまな在学生をゲストに迎え、弘前のまちなかをアテンド(案内)し、記事を執筆する本企画。
今回のゲストは、弘前暮らし1年目の在学生 山崎 太智(やまざき たいち)くんです。
弘前大学で学ぶことは、弘前という街で暮らすことでもあります。弘前市には車を持たない学生でも、豊かな自然や城下町の文化、商業施設にもアクセスしやすいコンパクトな暮らしやすさがあります。そんな「ともに暮らすまち」弘前を、山崎くんとともに散策していきましょう。
なお、今回は学生広報スタッフ「企画班」がゲスト・取材交渉及び撮影を担当しています!
弘前で暮らす人と弘大生にフォーカス~“カレー&コーヒーかわしま”と“まわりみち文庫”編~
今回はこのメンバーで行きます
案内人
鎌田 翔至(かまだ しょうい)
北海道網走市出身 2022年弘前大学人文社会科学部卒業
「弘前には楽しいところや素敵なお店がたくさんあります! 自分も在学時に通いつめたお店を紹介します。」
ゲスト
山崎 太智(やまざき たいち)
北海道札幌市出身 弘前大学人文社会科学部1年 学生広報スタッフ
専攻したい学問分野と一人暮らしへの憧れから、北海道を離れ弘前大学へ進学。
「一人暮らしの自由さに憧れていました。インドア派なのであまり街には出ていないです。」
カメラマン
上野矢 幸起(うえのや こうき)
北海道函館市出身 弘前大学人文社会科学部2年 学生広報スタッフ
「大雪の中ですが、いい写真が撮れるように頑張ります!」
後輩を連れて“カレー&コーヒーかわしま”で大盛りを
4コマ(14:20-15:50)終わり、昼食のタイミングを逃して空腹な山崎くんを連れて、一同はまず弘前市の中心商店街である土手町へ向かいます。行き先は“カレー&コーヒーかわしま”さんです。
「弘前は道が細いですよね……雪が降るとより歩きにくくて……。札幌では地下道を歩いていました」という正直な都会っ子の山崎くんと弘前大学から雪道を15分ほど歩き“カレー&コーヒーかわしま”さんに到着しました。入り口前からすでにカレーのスパイシーな香りが…。
お昼時は満席になることも多い人気店ですが、14時以降はコーヒーを味わう常連客が中心のゆったりした時間が流れます。山崎くんの“かわしま”デビューです。
鎌田「結構、おなか空いてる? 山崎くん大盛りいくかい」
先輩として後輩にはお腹いっぱい食べてほしいものです。そしてこれこそがこのお店の洗礼であることを“かわしま“に行ったことのあるみなさんならお分かりいただけるでしょう。
山崎「そうですね……自分、カツカレー普通盛で
大丈夫っす」
鎌田「そうか……カツも美味しいよな……」
残念、洗礼叶わず。
シュワシュワとカツを揚げる音が響く店内。
ライスに熱々のカレールゥがかけられていきます
待つこと10分、現れたのはなんともボリューミーなカレーライスです。
山崎「これ、大盛りじゃないですよね……?」
店主の川嶋貴裕さん「これが普通の量だね」
鎌田「自分も初めて大盛りを頼んだ時は、残しそうになりました」
こんなにボリュームがあってもマイルドで味わい深いカレーは、一気に“食べささる“ので不思議です。三人とも無言でカレーを頬張ります。食後はサイフォンで淹れたブレンドコーヒーをいただきながら、ゆったりとした時間を過ごします。
2023(令和5)年2月に創業50周年を迎えた老舗の“カレー&コーヒーかわしま”さんは、現店主の川嶋貴裕さんの父親である毅さんが1973(昭和48)年に開業しました。学生時代からの常連さんが多く、父、息子、そして孫の三世代にわたる常連さんもいるとか。
川嶋さん「大学の運動部の子たちが、初めて連れてきた後輩に大盛りを食べさせているところをよく見ます。“洗礼”ですね。自分自身が学生時代にラグビー部だったこともあり、たくさん食べてほしいので量が多くなっているんです。今の年齢で昼過ぎに大盛りを食べちゃうと、夜食までいらないですよ」とにこやかに話します。貴裕さんは地域イベントなどにも積極的に取り組まれており、案内人の鎌田もそんな中で仲良くさせてもらってきました。
腹ごなしに“土手町”を当て処もなくぶらつこう
おいしいカレーでエネルギーを過充電した後は、中心商店街の土手町をぶらつきます。土手町を当て処もなく歩きながら、ふと気になった店に入ってみたりすることを地元の方々は「土手ぶら」と呼びます。
“カレー&コーヒーかわしま”さんのある上土手町から、北大通りと土手町がぶつかる中土手町を抜け、中三百貨店のある下土手町へ。ただ歩くだけでは見逃してしまうような、土手町のトピックスを話しながら歩きます。
次の行き先は繁華街にある小さな本屋さんです。
こんなところで本屋を見つけた“まわりみち文庫”……?
“カレー&コーヒーかわしま”さんから10分ほど歩き、弘前の繁華街鍛冶町に通じ、飲食店やバーが立ち並ぶ「かくみ小路」にひっそりと佇むのが目的のお店“まわりみち文庫”さんです。
鎌田「はい、じゃあ、好きに見ましょう」
山崎「あ、はい」
果たしてこれは案内になっているのか。各々好きなように店内を物色します。
見て回るのが大変な昨今の大規模書店とは正反対の同店。決して広くない店舗ですが、店主の奈良匠さんが吟味し、店内の三面に並べられた本たちは、まだ知らない広く深い世界へのワクワクを感じさせてくれます。
鎌田「どんなお客さんが多いとかありますか?」
奈良さん「あまり偏りはないかな。本好きな老若男女がいらっしゃいますよ。コンスタントに売れるのは、短歌集です。現代短歌集は結構買っていかれる方がいます。この辺かな……」と、店舗左側の棚を探る奈良さん。
鎌田「山崎くん、欲しい本あったら買ってもいいからね。俺は買う」
それぞれ興味の赴くまま、店内をぐるぐると回りながら本を見ていきます。
昔ながらのまちの本屋が次々と閉業し、1983年に東北で初めて出店した紀伊國屋書店弘前店が2019(令和元)年に閉業したのはショッキングなニュースでした。そんな中、弘前で最も新しい新古書店として2020(令和2)年に開業したのが“まわりみち文庫”さんです。
“まわりみち文庫”という店名について、奈良さんは次のように話します。
「短歌や小説などの文学は、読んだからすぐに効果が出るようなものではないと考えています。ビジネス書や自己啓発本みたいなものではないかなと。でも、豊かな感性や生活につながっていくのは、一見まわりみちに見える読書だったり、経験だったりすると思うんです」
様々なジャンルの本がシームレスに並ぶ店内は、次から次へと新しい興味を引き出してくれます。
山崎「これ、買います。最近、思うところがあって……。自分の関心に近い内容みたいなので」
奈良さん「おお……ありがとうございます」
山崎「いえ、普段なら手に取らないような本も見れて楽しいです」
鎌田「いつもなら、ここで本を買って近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら読むのが定番ルートなんだよ。まわりみちしてね」
これが鎌田にとって最も贅沢な弘前の楽しみ方です。
店主の奈良さんと語らい、お気に入りの一冊をみつけることができた山崎くん
まちで暮らす。先輩から後輩へ。
“カレー&コーヒーかわしま”さん、土手町を散策して“まわりみち文庫”さんへのまち案内を終えて約2時間。山崎くんにとっては初めてのお店を巡りました。
「弘前のことやお店についてたくさんの発見がありました。どのお店も雰囲気が良く、店主の方たちと交流できてとても楽しかったです。地域の方々のコミュニティがしっかり形成されているなと感じました。これをきっかけに弘前の街を巡ってみたいと思います」と山崎くんは感想を教えてくれました。
2022年時点で弘前大学の1-3年生は新型コロナウイルスの蔓延を受けてメディア授業や、サークル活動・課外活動の制限を余儀なくされてきました。これにより学年間のつながりが弱まるとともに、今ままであった大学生と地域のつながりも弱くなってしまっていると感じます。
学生生活は、まちを知り尽くすには短く、ただ暮らすには長い。そんな中で先輩から後輩へ、引き継がれてきた名店が弘前にはあります。入学時、弘前のことを何も知らなかった鎌田も先輩に連れられてお店を知りました。友人と恐る恐る“開拓”したお店に通い、さも常連かのように後輩を連れていったりもしました。
弘前を「大学生活を過ごしただけのまち」にしてしまうには勿体無い。
先輩に連れられて、友人とともにまちに出てみる。いつもとちがう道を通って帰る。
それだけで新しい一面をみることができるのが、私たちの暮らすまち弘前です。
鎌田センパイについてもっと知りたい!
在学中からマルチに大活躍!地域づくりに全力で取り組む
在学中に参加した地域づくり活動での経験とネットワークを活かして、弘前市や地域の活性化に関わるチャレンジをされている鎌田さん。弘大生だった4年間を振り返り、卒業した現在、個人事業byplayerの代表として本企画を提案いただきました!
<2023(令和5)年3月時点で活動されていること>
byplayer代表
久渡寺のラーメン屋さん3代目店主
久渡寺のキャンプサイト管理者
弘前大学技術補佐員
書店アルバイトコミック担当
ベンチャーキャピタルインターン
鎌田センパイ在学中のHIROMAGA記事をご紹介
ご協力ありがとうございました今回鎌田センパイが案内したお店はこちら
カレー&コーヒー かわしま
弘前市土手町136
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まわりみち文庫
弘前市新鍛冶町9ー5(かくみ小路)
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