弘前での生活や、授業・研究以外の活動にもフォーカスして弘大生のリアルに迫る『ひろだいLIFE』。
弘前でともに暮らす」と題し、さまざまな在学生をゲストに迎え、弘前のまちなかを案内し、記事を執筆する本企画。

在学生を案内するのは2022(令和4)年に弘前大学人文社会科学部を卒業し、北海道出身でありながら在学時から弘前の街を存分に満喫してきた鎌田 翔至(かまだ しょうい)さんです。
今回のゲストは、弘前暮らし3年目の在学生 斎藤 結友(さいとう ゆう)さんです。

弘前大学で学ぶことは、弘前という街で暮らすことでもあります。弘前市は豊かな自然や城下町の文化など、誰しもが知っている魅力だけでなく、暮らすからこそわかる魅力があります。弘前暮らし3年目の斎藤さんとともに、「ともに暮らすまち」弘前の魅力を再発見していきましょう。

弘前で暮らす人と弘大生にフォーカス~“Groovin’81”&“純喫茶ルビアン”&“WHISKY PUB NOIR”編~

今回はこのメンバーで行きます

青森県のポーズ!前回は間違えましたが、今回は腕あってます
鎌田
鎌田

案内人
鎌田 翔至(かまだ しょうい)
北海道網走市出身 2022年弘前大学人文社会科学部卒業
「学都と呼ばれることもある弘前市ですが、大学生だけのまちではありません。大学生がなかなか踏み込めないところも紹介したいです」

斎藤
斎藤

ゲスト
斎藤 結友(さいとう ゆう)
弘前大学人文社会科学部3年、演劇サークル所属、はやぶさカレッジに参加するなど、語学への関心が高い。趣味でトロンボーンを演奏する音楽好き。山形県出身。
「住んで3年目になる弘前を改めて案内されるのが楽しみです!」

上野矢
上野矢

カメラマン
上野矢 幸起(うえのや こうき)
北海道函館市出身 弘前大学人文社会科学部3年 学生広報スタッフ
「前回は雪のなかでしたが、今回は晴れ。いい写真、撮れそうです」

音楽好きを連れていきたい店 Groovin‘81へ

鎌田「本日はどうぞよろしくお願いいたします。音楽がお好きだと伺っていますので、音楽をテーマにしながらご案内できればなと……大学3年ですもんね、すでに行ったことあるかもなぁ……」

斎藤「よろしくお願いします! はい! トロンボーンやってます。楽しみですー!」

元気いっぱいの斎藤さんに押されながら、一行は弘前大学前の県道127号線を土手町方向へ歩きます。

店前ではすでにサックスの音が聞こえます

鎌田「ご案内する1軒目はこちらのGroovin’81(グルーヴィンハイ)さんなのですが……」

弘前大学正門から歩くこと5分。音がもれでる扉から店内をのぞくと、サックスを演奏する店主の成田さんの姿がありました。思わずしり込みする一同。意を決して入店すると、成田さんは「いらっしゃい」とほがらかに迎えてくださいました。

サックスを演奏する成田さん、かっこいいです

斎藤 「……お久し振りです」
鎌田 「おひさしぶりです……?」
成田さん「斎藤さんは前から来てくれてるんだよ。うちでやってるバンドの練習にも参加してくれたり……」
鎌田 「あっ……そうだっ……たんですね」

ジャズを始めてみたかった斎藤さんは、紹介前にすでに来店されたことがあったそう。
成田さんは「こんなおじさんの常連が多い店にひとりで来るなんて、しかも楽器をもってきててね。つい、“楽器やるの?” って声かけちゃったんだよね」という。
案内人の想定以上にアクティブな斎藤さんに驚かされます。

Groovin’81は店主の成田さんと奥さんとで10年前に開業されたジャズ喫茶です。店名は成田さんお気に入りのジャズの名曲「Groovin’ High」と、奥さんと結婚した1981年をかけたとのこと。粋です。


楽器とレコードが並ぶGroovin‘81さんの店内

店内には大きなスピーカーとレコードプレイヤー、成田さんのレコードコレクション。そして、ピアノとドラムとベース……。音楽好きの心が躍る空間です。成田さんのお気に入りを聞かせてもらいます。ちなみに音楽を聴くなら店舗中央が特等席ですよ。

成田さん「上手い演奏をするひとは、都会にいけばゴロゴロいるんですよ。そんなひとたちと比べるとぼくたちは下手かもしれない。でも、音楽、特にジャズはね、青春時代の音楽だから、今も色褪せない。知るほど、演奏するほど、その魅力を深く感じられる……と思うんだよね」



音楽への想いを熱く語ります、こんな大人になれたらなぁ……

 

成田さん「まぁ、ジャズの曲を知ってたらね、同年代のやつより、大人に見られてさ、ちょっとはちがうぞと……まぁモテたんだよね俺らの時は」とはにかむ成田さんは、やっぱりかっこいいまちの先輩です。Groovin’81は、音楽と青春時代を過ごして成田さんたちが今でも生の音を奏でる楽しみをつづける生きた場所でした。

「またおいでね」と成田さんに見送られながら、夕方のまちに出ます。

弘前の音が詰まったような喫茶店 純喫茶ルビアン

弘南鉄道弘前中央駅の自由通路を抜け、れんが倉庫美術館の緑地にでます。案内時はまだ夏、とおくからねぷた囃子が聞こえた気がします。夕方ともなれば家路につく高校生や、犬の散歩をしている人、電車の音。最勝院の五重塔を遠目に見ながら「みんなこのまちで暮らしているんだな」と感傷的な気分になります。

偶然聞こえてきたねぷた囃子、“じゃわめぐ”感じがします

まだ飲むには早い16時半、飲み屋が立ち並ぶ弘前の繁華街鍛冶町の角に佇む喫茶店「喫茶ルビアン」さんに入ります。Groovin’81さんから10分ほど歩き、到着しました。

店主である赤石さんから「いらっしゃい」と声を掛けられつつ入店します。聞こえてきたのはテレビの音、この日はプロ野球のオールスター戦。WBCで何度も聞いた岡本和真選手の応援歌が流れてきました。

鎌田「ここは水出しコーヒーがおすすめです」
斎藤「水出しコーヒーですか、それにします!」
鎌田「おなか空いてます? 食事もいけますよ、多分」

注文を聞くと、赤石さんは淡々と料理をはじめます。

ルビアンさんの水出しコーヒーは1日10杯限定です。50年以上前から愛用しているドリッパーを使い、7時間かけて抽出されます。大きな氷をいれた銅製のマグカップで出される水出しコーヒーは、キンキンに冷えていて指先からも冷たさを感じます。暑い季節に合う一杯です。鎌田はここの水出しコーヒーを飲んでから、コーヒーをブラックで飲めるようになりました。



店主の赤石さんが料理をする音、TVの野球中継、BGMのクラシック、お客さんの話し声、上階のダイニングバーへの階段をあがっていく、お客さんの靴音。開業53年になるルビアンさんには、まちの音がギュッと凝縮されているようです。

古き良き純喫茶の風貌を残すカウンターを照らすステンドグラスのライトがおしゃれです。店主の赤石さんは開業当時のものを丁寧に使い続けています。生まれていない時代ですが、懐かしく感じるのが不思議です。

1970年代から日本でも活躍したプロレスラー
アブドーラ・ザ・ブッチャーのサイン

せっかくなら少し背伸びした酒場へ WHISKY PUB NOIR(ウイスキーパブノアール)

ルビアンさんを出るとあたりは薄暗く、これからまちに出るスーツ姿がちらほら見えます。鍛冶町を大学方面へと進むと、左側に見えてくるのが「城東閣」です。元々同名で飲食店の入るビルが立っていた場所を開発した鍛冶町の中では最も新しいエリア。照明が灯された今風な通りは、思わず写真を撮りたくなります。

大きな紺色の暖簾がかかるのが目的地のウイスキーパブノアールさんです。
外からでもカウンターで常連さんと談笑する“大将”が見えます。

鎌田「こんにちは」
工藤さん「お、いらっしゃい」
鎌田「今日は取材で来ました。取材終わるまでは酔えないです」

ウイスキーのボトルが並ぶ端に、マンガやボードゲームも並ぶこのお店はサブカル好きな鎌田にとって憩いの場所です。スピーカーからはいつか鎌田が工藤さんに教えてもらった邦ロックが聞こえます。

カウンター越しの工藤さん

工藤さん「なんにしやしょう」
鎌田「グレンアラヒーってまだあります?」
工藤さん「あるよ」
上野矢「なんすかそれ」
鎌田「あの、なんか……美味しいやつ」
工藤さん「鎌田くん、全然お酒の名前覚えないもんなぁ」
鎌田「いや、美味しいんですけど酔ったら覚えてられなくて……」
工藤さん「ふたり(斎藤・上野矢)はウイスキー飲むの?」

カウンター越しに話しながら、注文が決まっていきます。
あんまり飲んだことないです……と控えめに答える斎藤さんにも、じゃあまずは飲みやすいのからいきましょうと、おすすめを教えてくれる工藤さん。鎌田は初めて来た時のことを思い出しながらにやけます。


ウイスキーのことをよく知らなくても、マスターの工藤さんが
お客さんの希望にあったお酒を出してくれます

鎌田「斎藤さん、どうでした今回のガイドは」
斎藤「楽しかったです。鎌田さんがこうやって話聞くんだなぁって思いました」
鎌田「あ、いえ、ありがとうございます……?」
斎藤「私、家で飲むこともあるんですけれど、こういうのもいいなって思いました」
工藤さん「家で飲むの?」
斎藤「はい、チューハイとか買ってきて、ひとりでも」
工藤さん「意外とお酒強そうだ。飲みたいときはぜひお待ちしてます」
常連さん「私も多いときは週3? 4?くらいで出勤してるからー!」
鎌田「出勤……」

常連さんも自然と会話に入り、そして自然に会話から出ていく。ちなみに鎌田と常連さんは会うのは4度目くらいですがお互い名前を知りません。それもまた居心地がよかったりします。

まとめ

斎藤さんが音楽好きだと知り“Groovin‘81”さん、“ルビアン”さん、“ウイスキーパブノアール”さんを案内しました。音楽系サークルに所属している学生はもっとディープな弘前を知っていることでしょう。

まちの“音”を気にして歩いた今回ですが、気づかされたのは「このまちは自分だけの街ではないこと」でした。弘前は学都と呼ばれるほど、大学生が多い街です。しかし、当然ですが大学生以上にこのまちでは多くのひとが暮らしています。家と大学の往復では、つい忘れてしまう実感です。

まちにでることで、弘前に暮らすひとの存在に気づかされました。出会うその人は、勇気をもって参加した社会人バンドのメンバーかもしれません。居心地の良い喫茶店のマスターかもしれません。酒場のカウンターで偶然隣り合ったお客さんかもしれません。そして、そんなまちで出会った人たちとの関係は大学卒業後も続いていくものです。鎌田も弘前を思うとき、お世話になったひとたちの顔が浮かびます。

ひととの出会いによって弘前は「4年間過ごしたまち」から、「あのひとが暮らすまち」に変わっていきます。
学ぶまちは暮らすまちでもある、もちろん弘前に住む方々と一緒に。

鎌田センパイについてもっと知りたい!

在学中からマルチに大活躍!地域づくりに全力で取り組む

在学中に参加した地域づくり活動での経験とネットワークを活かして、弘前市や地域の活性化に関わるチャレンジをされている鎌田さん。弘大生だった4年間を振り返り、卒業した現在、個人事業byplayerの代表として本企画を提案いただきました!

<2024(令和6)年3月時点で活動されていること>
byplayer代表
久渡寺のラーメン屋さん3代目店主
久渡寺のキャンプサイト管理者
株式会社サッポロドラッグストアー社員

鎌田センパイ在学中のHIROMAGA記事をご紹介

ご協力ありがとうございました今回鎌田センパイが案内したお店はこちら

Groovin‘81

所在地 弘前市富田1丁目6-1
Webサイト 公式ホームページ
Groovin‘81

 

純喫茶ルビアン

所在地 弘前市鍛冶町4
純喫茶ルビアン

 

WHISKEY PUB NOIR

所在地 弘前市鍛治町11(城東閣)
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