学生たちの活躍をお伝えしている『ひろだいLIFE』。
今回はサークル・部活紹介第9弾!
弘前大学には100以上の部活・サークル・団体があり、それぞれ個性豊かな活動をしています。
今回紹介するのは「古武術研究会」です。
津軽の地で受け継がれる古武術*を学び、伝統の技と精神を受け継ぐ古武術研究会を学生広報スタッフ「企画班」が取材しました!
*剣道・柔道・空手など、現在親しまれている「現代武道」の原点となる技術。侍が使っていた技術には、戦うためだけではなく、護身術や体を整える技も含まれている。
弘前で体感する侍の世界
古武術研究会
- 概要・活動内容
- 古武術研究会
2012(平成24)年設立。
部員15名(2024(令和6)年7月現在)。
古武術研究会では、弘前藩に伝わる卜傳流(ぼくでんりゅう)剣術や林崎新夢想流(はやしざきしんむそうりゅう)居合、本覚克己流柔(ほんがくこっきりゅうやわら)などの江戸時代から続く技を学び、日々研鑽を積んでいます。弘前はかつて城下町として栄え、侍が住んでいた街です。そんな街だからこそ、私たちは侍文化に触れることができ、その歴史的な重みを稽古を通して感じています。稽古では型の習得に重点を置き、当時の動きを忠実に再現しながら、戦いの理論や精神も学んでいます。技術だけでなく、心も体も鍛えることができるので、自己成長に繋がっています。また、定期的に演武に参加し、日頃の成果を披露することで古武術の魅力を伝えることも楽しみの一つです。こうした活動を通じて、地域の文化を次の世代に伝えていくお手伝いができればと考えています。
- 活動頻度
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火曜・水曜:19:00~21:00(弘前市立第三中学校 体育館)
木曜:19:00~21:00(剣道場福島記念館孔雀荘)
土曜:13:00~15:00(武術研究稽古会 修武堂) - SNS・Webサイト
みんなに言いたい!ウチの自慢!
日比野さん:古武術研究会の最大の魅力は、他の大学では体験できない貴重な経験ができることです。真剣を使った試し斬りや、他の流派の先生方との稽古、さらには馬に乗ったり甲冑を着たりする機会もあります。こういう体験は、部員たちにとって一生ものの技術や知識を身につけるチャンスになっていると思います。
― 古武術研究会に入ったきっかけについて教えてください。
弘前大学のホームページで古武術研究会を見つけたとき、その独特な雰囲気に強く惹かれました。現代的なサークルが多い中で、古武術研究会はひときわ異彩を放っていて、魅力を感じたんです(笑)。幼少期に剣道を少し習っていたこともあり、昔ながらの武術に再び触れてみたいという気持ちが湧いてきました。「ここなら、一生ものの技と精神を身につけられるかもしれない」と思い、入部を決意しました。
もともと柔道をやっていたこともあり、大学でも武道を続けたいと思っていました。ただ、部活ほど重くなく、気軽に参加しながらもしっかりと学べる場所を探していたんです。そんな中で古武術研究会を見つけ、そのバランスに魅力を感じました。古武術は未経験でしたが、初心者でも一から学べる環境が整っているので、安心して始めることができました。ここで新しい技術や精神を身につけ、柔道とはまた違った武道の世界を楽しんでいます。
― 普段どんな稽古をしていますか?
日比野さん:まずはしっかりと準備体操から始めます。その後、下半身を鍛えるためのトレーニングや、基本的な型の練習に移ります。下半身を安定させることは、武術において非常に重要なんです。特に私たちのサークルでは「ねまり相撲*」にも取り組んでおり、低い姿勢での体さばきやバランス感覚を養っています。
また林崎新夢想流居合で使用する刀は、刃渡りが約1メートルもある重いものです。この刀をしっかりと操るためには、腕力や筋力だけでなく、全身の連動した動きが必要です。稽古では、その体の使い方を徹底的に磨き、刀を自然に振り下ろす技術を型として身につけています。刀を扱うことで、心と体が一体となる感覚を体得できるのも魅力ですね。
*「ねまり相撲」は主に青森県やその周辺で盛んに行われており、弘前藩が武士の冬場の鍛錬として行ったとされるもの。「ねまる」は東北地方の方言で「座る」という意味。膝をついた低い姿勢での稽古は、下半身の強化や安定した動きを身につけるのに効果的。
― 下半身の鍛錬や刀の扱いは、日常生活ではなかなか経験できない動きですよね。このサークルならではの貴重な学びと言えそうです。
鈴木さん:このサークルで体を使う動きは、普段の生活ではほとんどしないものばかりです。たとえば、お尻歩きや背中歩きなどのトレーニング。普段使わない筋肉を使うことで、これまで意識しなかった体の使い方を学べたのが、古武術を通じて得られた大きな成果ですね。
日比野さん:そうですね。体全体がしなやかに動くようになったり、肩が軽くなったりしました。慣れない動きに最初は苦労しましたが、今では体の動きが丁寧になったと実感しています。日常生活にもその効果が出ている気がします。
― 鍛錬の成果でしょうか、皆さんの姿勢も綺麗な気がします!ちなみに練習以外で何かイベントに参加していますか?
日比野さん:ねぷた祭りへの参加や、武家屋敷での演武イベントなど、普段の稽古以外でもさまざまな活動をしています。ねぷた祭りでは、地域の方々と一緒に祭りを盛り上げるために参加し、古武術の魅力を伝える良い機会になっています。また、武家屋敷での演武は、歴史的な背景と調和した空間で古武術を披露できる貴重な場です。こうした活動を通じて、地域とのつながりを深めながら、私たち自身も武士の文化や伝統をより身近に感じることができています。
― 活動していて楽しい時・大変な時を教えてください。
鈴木さん:試し斬りなど、普段なかなか経験できないことに挑戦できるのはとても楽しいです。実際に刀を使って斬る感覚は、古武術ならではの迫力を感じられます。あとは演武や大会、稽古会に参加するために、全国各地に行く機会があるのも楽しいですね。ただ、一方で技術の向上を目指していると壁にぶつかることがあります。型の一つ一つに込められた動きを正確に習得しようとすると、思った以上に難しく、何度も繰り返し練習しないといけません。でもその分、上達を実感できた時は大きな達成感があります。
― 最後に今後の目標を教えてください!
日比野さん:より多くの人に古武術の魅力を伝えるとともに、技術をさらに磨き、サークルとしての活動の幅を広げていきたいです。あとは、居合道の大会や総合文化祭のような表舞台に立つことが増えたんですが、まだ学内でも古武術研究会のことを知らない人が多いので、知名度を上げたいですね。古武術は単なる武道ではなく、心身を鍛え、歴史や文化への理解も深められるので、その魅力をもっと広く伝えていけたらと思っています。
第23回総合文化祭ではPerformance Showのほか、模擬店で揚げ餅を提供
今回インタビューを担当した学生広報スタッフは
齋賀しおりさん。試しに刀を抜かせてもらいました
日比野さんから高校生のみなさんへメッセージ
やっぱり大学といったらなんでもチャレンジできる場所だと思うので、いろんなものに挑戦してみてほしいです。社会人になってからやるのはなかなか難しいですから。
お試しでもいいので、気軽に来て欲しいです!
鈴木さんから高校生のみなさんへメッセージ
古武術研究会で体験できる流派はこの弘前でしかできないものなので、せっかく弘前に来たんだったらここでしかできない体験を学生さんにはしていただきたいなと思います。研究会の部員のほとんどが未経験で始めているので、初心者の方大歓迎です!
学生広報スタッフの小山さんにもインタビュー!居合の大会で入賞
小山秀晃さんは、今年6月に山形県で行われた全国各流居合道さくらんぼ大会に出場し、段外の部で3位に輝きました。一般的な型(制定居合)で競う大会において、古流の型を学んでいる古武術研究会はいわば少数派。それにも関わらず見事な結果を残しました。
小山さんは「大会での勝敗を目的に稽古しているわけではなく、自分たちの鍛錬と居合という文化の継承が大切だと思っています。私は来年卒業する予定ですが、後輩たちがさらに成長し、私を超える活躍を期待しています」と、後輩への熱い思いを語りました。
古武術研究会と聞くと「厳しそう」とか「堅苦しそう」などのイメージを持つかもしれませんが、全くそんなことはなく、和やかな雰囲気の中、皆さん楽しそうに稽古していました。
「青森らしい文化に触れたい!」と思っているあなた、古武術研究会で本格的な武道の精神に触れながら、津軽の伝統を体験してみませんか?
歴史を感じる独自の活動が、あなたを待っています!