弘前大学の現役学生をご紹介する「在学生インタビュー」。第42回は、「教育学部以外から教員免許を取得した2人の学生に聞く!」と題し、人文社会科学部文化創生課程4年の清藤 祐矢(せいとう ゆうや)さんと伊藤 誠勝(いとう まさかつ)さんにインタビュー。春から中学校の社会科教員としての一歩を踏み出すお二人に、教員免許の取得を目指したきっかけや、教職課程での学び・苦労、また、学生生活や今後の展望について伺いました。

そもそも教員免許とは?

教員免許(正式名称:教育職員免許状)とは、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校など、日本の学校で教員として働くために必要な免許です。教員免許を取得するためには、「教職課程」を設置している大学や短期大学等で必要な単位を修得し、都道府県の教育委員会へ申請して免許状の授与を受けます。その後、教員採用試験に合格することで、初めて教員として教壇に立つことができます。つまり、教員免許は 「教員を目指すためのスタートライン」といえます。

一般的に「教員になる=教育学部」と考える人が多いですが、弘前大学では自分の興味・関心のある学部に所属しながら、教職課程を履修することで教員免許を取得することができます。専門分野の学びと教職の知識を同時に身につけられるため、将来の強みにつながる学び方ではありますが、本来の専攻科目に加えて授業数が増えるため、計画的に履修する必要があります。


member今回インタビューしたお二人



清藤 祐矢

清藤(せいとう) 祐矢(ゆうや) さん


学部・学年:人文社会科学部文化創生課程4年
出身:青森県青森市
趣味:古本集め(教育系・近代歴史)



伊藤 誠勝

伊藤(いとう) 誠勝(まさかつ) さん


学部・学年:人文社会科学部文化創生課程4年
出身:栃木県さくら市
趣味:プロレスやライブ観戦

人文社会科学部から社会科教員の道を目指す

— 教員を目指そうと思ったきっかけは何ですか。また、社会科の教員を選んだ理由についても教えてください。

清藤さん:子どもの頃、父と一緒に歴史番組や雑誌に触れる時間が好きで、そこから自然と歴史に興味を持つようになりました。ただ、「分からん!」と思うことも多くて(笑)。それでも、学校で社会科の学びが深まるにつれて内容が少しずつ理解できるようになり、その学びを家族と共有できることが嬉しかったんです。あとは中学校の時にお世話になった社会科の先生の人柄に惹かれたこともあり、社会科教員としての道を考えるようになりました。

また、弘前大学で出会った宮﨑 充治先生(教育学部)の言葉も後押しになっています。先生は「教育とは、変容する人間同士の動的なプロセスである。子どもが教師によって変わるだけでなく、教師も子どもによって変わる。その変化こそがダイナミックなプロセスだ」と話していました。先生自身、学生と互いに影響し合い、共に成長していく姿を体現している方で、自分もそんな教員になりたいと思うようになりました。

伊藤さん:弘前大学に入学する際、両親から「教員免許だけは取得してほしい」と言われていて。もともと将来なりたい職業が明確に決まっていなかったこともあり、「とりあえず将来の選択肢を広げるために資格を取っておこう」と考え、教職課程の授業を受け始めました。

転機となったのは、2年生のときに挑戦した模擬授業です。分かりやすく面白い授業にするため工夫したところ、友人から「ここが分かりやすかった」「この工夫が良かった」といった感想をもらい、大きな手応えを感じました。

社会科の教員を目指した理由には、昔は歴史が苦手だった自分自身の経験があります。当時の授業は板書を写すだけで興味が持てませんでしたが、ノートの取り方を工夫したことで理解しやすくなり、「社会って面白い」と感じられるようになりました。その経験から、今度は自分が歴史や社会が苦手な子でも「分かる」「楽しい」と思える授業をつくりたいと考えています。

インタビュー中のお二人

— 他学部から教員免許取得に取り組む中で、どのような学びや苦労がありましたか。

清藤さん:教職課程は卒業に必要な単位とは別に履修するため、専門科目と教職科目の両方をしっかり学ぶ必要があります。2年生から本格的に始まりますが、学ぶ内容が多く、続ける学生が少しずつ減っていくのが実情です。私自身も、4年生では卒論・授業・ゼミが重なり、かなりハードな毎日でした。専門性の高い授業も多く、1日に5コマ入る日もあるほどで、正直厳しいなと思う面もあります。

ただ、その中でも教育実習や介護等体験は印象深く、やり遂げたときの達成感は大きなものでした。介護等体験では児童養護施設に行ったのですが、普段出会えない子どもたちと関わり、その中で社会教育や生涯学習への関心が高まりました。この実習を通して「教員になろう」という思いがさらに強くなりました。

伊藤さん:大変だったのは、周りの友達より授業数が多く、自分で勉強する量も増えることです。また、ひとつひとつの授業の専門性が高く、歴史は得意でも、経済学や法律などは難しさを感じることもありました。

それでも毎日授業に出続けることを大切にしてきました。長期休みには集中講義が入り、人文社会科学部では同時期にフィールドワークも行われます。1週目は集中講義、2週目は発掘調査、3週目はまた集中講義…といった具合で、「大学生らしい長期休み」ではないこともありますが(笑)、その分、学びの密度はとても濃いです。

母校で行った教育実習では授業やホームルームを担当し、生徒から「先生の授業が面白かった」「また来てください」と声をかけてもらえたことは何より嬉しい経験でしたし、教職への思いがより強くなりました。

介護等体験では、高齢者施設の活動や訪問介護に参加しました。上の世代の方々とお話しする機会は新鮮で、人生経験に触れられる学びがたくさんありました。子どもだけでなくさまざまな人との関わりを通して得られた視野の広がりは、この実習ならではのものだと思います。

教員免許取得に関する主なスケジュールと内容( 教育学部以外の学生 )
教員免許取得に関する主なスケジュールと内容( 教育学部以外の学生 )

— ご自身の経験を踏まえて、他学部から教員を目指す学生へアドバイスがあればお願いします。

清藤さん:計画的に単位を取得しながら、教員としての資質や能力を一緒に高めていきましょう。ゼミや卒業に必要な単位との兼ね合いも、慎重に考えることが大切です。ぜひ、自分の進路に向けて明確なビジョンを持って学びを進めてください。

伊藤さん:大事なのは、やる気と根気です。一緒に教職を目指していた友人の中には途中でやめてしまう人もいましたが、教職課程で学べたことは本当に多く、振り返ると「やってよかった」と心から思っています。

教員免許を取る!という強い気持ちを持ちながら、ゼミや卒業研究、課外活動とのバランスもしっかり考えることが大切です。大変なこともありますが、最後まで走り切れば必ず自信につながります。ぜひ頑張ってほしいです。

発掘調査の現場で感じた考古学の面白さ

— 専門科目についても伺います。お二人は上條信彦教授の日本考古学ゼミに所属されているとのことですが、取り組んでいる研究内容について教えてください。

清藤さん日本考古学ゼミは発掘調査を中心に、主に自分たちで掘り出した遺物や文化財を研究します。僕が研究しているのは“礫石器(れきせっき)”と呼ばれる、自然の石を一部打ち欠いてつくられた最も原始的な石器で、卒論では「道南の続縄文移行期における礫石器の使用痕分析」をテーマに取り組みました。

北海道で行った発掘調査で大きな土器が出てきたときは、現場が一気に盛り上がりました。発掘調査はまるで宝探しのようですが、先生が事前に予測を立てたうえで掘り進めています。想定どおり見つかることもあれば、まったく予想していなかったものが出てくることもあり、こうした予想とのズレも発掘の醍醐味のひとつです。

伊藤さん:僕は、北海道の遺跡で発掘した石器などの「遺物」を形の特徴ごとに分類し、そこから元の形や用途を推測する研究を行っていました。さらに、同時期の他地域の遺跡と比較することで、「北海道ではこのような形の石器が多かったのではないか」など、地域特有の特徴を読み取ることを目指していました。

このゼミの魅力は、実際に「自分の手で掘る」経験ができることです。発掘調査で見つかった遺物を集めて並べ、先生と確認しながら分析する、そんな「本物の遺跡に触れながら学べる環境」はとても貴重でした。

発掘調査の様子
発掘調査の様子
発掘調査で見つかった遺物を集めて並べ、分析する様子
発掘調査で見つかった遺物を集めて並べ、分析する様子

課外活動で感じたやりがいと達成感

— 学生生活についても伺います。学業以外の活動や経験の中で、特に思い出に残っているものがあれば教えてください。

清藤さん:私は1年生から4年生まで、大学見学を希望する方に向けてキャンパス構内をご案内する「キャンパスツアーガイド」を務めてきました。案内する立場になったことで、普段は気づきにくい弘前大学の魅力を、改めて自分自身が深く実感するようになりました。

特にやりがいを感じたのは、受験生や地域の方々にとって「弘前大学への橋渡し」となれることです。キャンパスツアーガイドは、大学の「顔」としての役割を担うと同時に、大学の魅力を伝える「語り部」でもあります。魅力を伝えるにあたり試行錯誤もしましたが、楽しく貴重な経験となりました。

キャンパスツアーガイドの清藤さん
キャンパスツアーガイドの清藤さん
歴史の知識も織り交ぜながら参加者を案内
歴史の知識も織り交ぜながら参加者を案内


伊藤さん:私は、弘前大学生協学生委員会で委員長を務めていました。学生委員会には4つの担当会議があり、その活動全体を統括するとともに、メンバーの相談役として組織内の調整も行っていました。「何かあったら委員長に相談しよう」と思ってもらえる存在を目指して活動していました。

同期や後輩から「伊藤さんが委員長でよかった」と言われたことが大きな励みになり、活動を終えたときには、委員長として頑張ってきて本当によかったと心から思いました。

弘前大学生協に関われたことで良き仲間に出会い、様々な経験をできたことは、私にとって貴重な財産です。一緒に活動した仲間と弘前大学生協の職員さんに深く感謝しています。

弘前大学生協学生委員会のメンバーと
弘前大学生協学生委員会のメンバーと
総合文化祭の「健康安全まつり」の一コマ
総合文化祭の「健康安全まつり」の一コマ

春から教員の道へ。大学で得た経験と知識を活かして

— 今後の展望を教えてください。

清藤さん:春から青森県で教員として働くことが決まった今、生涯学習や社会教育の分野でも活躍できる人材になりたいと考えています。現在は社会教育主事の任意資格取得を目指しており、教育学部で開講されている関連授業も履修しています。

人文社会科学部での専門的な学びに加え、教職課程や社会教育主事課程で得た経験を生かしながら、弘前大学での学びをさらに発展させたいと思っています。青森の次世代を育て、魅力ある地域の未来づくりに貢献できるよう、学びの輪を広げながら挑戦し続ける教員でありたいと考えています。

伊藤さん:春からは栃木県の教員として働きます。今は臨時採用ですが、いずれは正規採用を目指して勉強を続けながら、教員としての経験を積んでいきたいと考えています。教職課程で得た知識を活かしながら、生徒にとって分かりやすく魅力ある授業づくりにも挑戦していきたいです。

また、本が好きなこともあり、将来的には図書館司書の資格取得にも興味があります。教員になってからその知識を活かして図書を子供たちに勧めるような活動もできたらいいなと考えています。

弘前大学で幅広い学びに触れてみて

— 最後に、受験生にメッセージをお願いします。

清藤さん:弘前大学は、「学問に思いきり没頭できる大学」だと感じています。自分が学びたいと思った分野を追究すると、必ずそれを受け止めてくれる教員や、学びを深められる環境があります。

僕が所属している人文社会科学部では、幅広い学問に触れられることも魅力のひとつです。1年生のうちは哲学、経済、美術など興味のある領域を自由に学べます。私自身は考古学のゼミに所属していますが、民俗学や言語学、さらには法学といった他分野の授業も選べるなど、学問を横断しながら学べるのが弘前大学の良さだと感じています。

伊藤さん:大学に来ると、本当に多くの人と出会います。その中で、自分の「当たり前」が当たり前ではないと気づいたり、逆に、自分では普通だと思っていたことが長所として評価される場面もたくさんありました。4年間の中で、大学は学ぶ場所であると同時に、人としても大きく成長できる場所だと実感しています。

高校までの常識や価値観から、いい意味で解き放たれる期間でもありました。弘前大学では多様な学問に触れられるので、まだ将来が決まっていなくても、きっと自分のやりたいことが見つかると思います。

また、さまざまな学問に出会う中で「こんな分野もあるんだ」「いつか勉強してみたい」と思える分野が次々と見つかりました。そうした新しい発見ができるのは、総合大学である弘前大学の大きな強みです。幅広い学びに触れられる良さを、ぜひ知ってもらえたら嬉しいです。

Profile

人文社会科学部文化創生課程4年
清藤 祐矢さん・伊藤 誠勝さん

教育学部以外から教員免許を取得した2人の学生に聞く! 。
清藤 祐矢さん:青森県青森市出身。青森県立青森北高等学校卒業。父の影響で歴史に興味を持ち、高校生時代には、青森県外ヶ浜町の大平山元遺跡で案内ガイドを務める。大学では、学業と並行して弘前大学生協学生委員会や卒業アルバム製作委員会、キャンパスツアーガイドなどの課外活動にも積極的に取り組む。
伊藤 誠勝さん:栃木県さくら市出身。栃木県立さくら清修高等学校卒業。北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産に登録されたことをきっかけに考古学に興味を持ち、弘前大学に進学。課外活動は弘前大学生協学生委員会で委員長として活躍。