message医学部保健学科
放射線技術科学専攻
齋藤 陽子 教授Saito Yoko

弘前大学医学部医学科 齋藤陽子

“MRIの素晴らしさを実感し‘MRIのとりこ’に”

わたしは、画像診断、そのなかでも主にMRIやCTの研究をしています。MRIやCTのハードやソフトウエアは進歩していますので、新しい装置や撮像方法が、患者さんの画像診断においてどの様に役に立つか検討するのが主な研究テーマです。

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Question研究について

― 研究テーマの概要について

わたしは、画像診断、そのなかでも主にMRIやCTの研究をしています。MRIやCTのハードやソフトウエアは進歩していますので、新しい装置や撮像方法が、患者さんの画像診断においてどの様に役に立つか検討するのが主な研究テーマです。特にMRAの有用性についての研究に力を入れていました。※MRAとは、MRIで血管を画像化する手法で脳の血管をはじめとして全身の血管を画像化する事ができます。
最近は、CT検査を受ける患者さんの被ばく線量についての調査研究や、患者さんの被ばくを減らすための撮像方法の研究も行っています。

― 先生がその研究を志した理由、きっかけ。

わたしは放射線科医で、画像診断を専門としています。放射線診断は日々進歩していますが、わたしが仕事をはじめた頃にはMRIもなく、限られた画像診断法を用いて苦労しながら診断をしていました。その後、青森県で初めて導入されたMRI装置の診療に携わる事になり、MRIが診断の決め手となった貴重な症例を沢山経験し、MRIの素晴らしさを実感しました。“MRIのとりこ”になったと言っても良いかもしれません。その気持ちが変わらないので、MRIに関する研究を続けています。

弘前大学医学部医学科 齋藤陽子

― 先生の研究への情熱や、哲学、今後の展望など

先程も述べましたが、“MRIって素晴らしい!”と感動したことがいまだに忘れられません。このように仕事で感動できたことは、とても幸せなことだと思っています。研究を含めて仕事は楽しいことばかりではありません。行き詰まる時も辛い時もあります。でも、○○が好きだという気持ちや、やりがいを感じていれば、もし辛いことがあっても頑張って乗り越えることができるのではないかと思っています。
わたしは、30年ほど前に米国のメーヨークリニックへ短期留学をさせて頂きました。そこで、Dr.Ehmanに出会い、奥様やお嬢さんをはじめとしてEhman家の方々と親しくさせて頂いています。研究とは直接関係ありませんが、別荘にご招待頂いたり、娘さんに結婚式に呼んでいただいたりしました。

Question教育について

― 学部(学科、課程、専攻等)の特徴(力をいれている教育・研究、雰囲気など)

保健学科では医療職者の育成をしています。免許取得のための教育カリキュラム規定があるので、講義の他に実験・実習や演習も多く、大変だと思いますが学生の皆さんは目標に向かって頑張っています。保健学科には5専攻(看護学、放射線技術科学、検査技術科学、理学療法学、作業療法学)あり、令和2年4月には医学部心理支援科学も新設されました。この様な規模は国立大学の医療系学部では最大です。専攻や学科を超えた共通科目もあり、一緒に学んでいます。医学科との共通授業も試行的に開始する事になりました。他学科、他専攻の学生との交流で、職種間の理解が深まりますし、他学科・他専攻との横のつながりを築く事は、将来的に大きな財産になるのではないかと考えています。附属病院が隣接しているのも大きな強みで、恵まれていると思います。
保健学科・保健学研究科では被ばく医療人材育成の推進も行っています。青森県には複数の原子力施設があり、事故は起こってほしくないですが、備えておくことは重要だと考えています。
資格を取得し、医療施設に就職する卒業生が多いものの、将来職場でリーダーになることや、研究職につくことをめざして大学院に進学する学生も増えてきました。保健学科卒業生の活躍の場は広がっています。

― 先生の講義の特徴

わたしは、主に診療放射線技師の教育に携わっています。診療放射線技師は、医療施設で胸部写真などの一般撮影、X線CT検査、MRI検査などの画像診断や放射線治療を担当する職種です。画像診断は、その結果が患者さんの治療方針を決めるための重要な情報になる事が多く、大変責任のある業務です。放射線治療も主に癌を対象としますので、重要な仕事です。
わたしは主に画像診断に関する教育をしていますが、実際のCTやMRIなどの画像をなるべく多く見てもらい、診療でどのように活用されているのか理解してもらえるように努めています。放射線診療の意義を理解し、将来誇りをもって仕事に取り組む技師を育てたいと思っています。

― 研究室の活動のこと

卒業研究では、CTやMRIに関する研究をしています。具体的には、CTやMRI装置を用いた実験研究や、患者さんの検査データの解析、CT検査の被ばく線量の推定などをテーマにしています。CTやMRI装置は病院の最新装置をお借りして行うことが多く、附属病院をはじめとしてご協力いただく医療施設には大変感謝しています。卒業後、医療施設に就職してからも研究は続けてほしいので、そのための基盤づくりとして学生のうちから自分で考えてもらうように心がけています。そのために十分なサポートを心がけています。 卒業研究発表会が終わった後には、皆さん充実感に満ちた笑顔になっています。

弘前大学医学部医学科 齋藤陽子

― 大学で学ぶことで将来どのようになれるか、何に役立てられるか

保健学科に入学するのは、医療職種の国家資格を取得しようという方が大部分です。学生のうちに知識と技術を身に着け、卒業して国家試験に合格すると、資格を得ることができます。卒業生の大部分は医療施設等に就職しますが、大学院への進学や企業への就職も増えてきています。国家資格は専門学校を卒業しても取得することができますが、大学の卒業生である保健学科卒業生には、単に資格を取るだけではなく、職場でも指示待ち人間ならず、自分で工夫をしたり研究をしたり、リーダーとなって医療の発展に貢献するような人材になってほしいと願っています。

― 高校生のうちからどのような経験をしてきてほしいか

医療職は、患者さんの命を預かる責任のある仕事です。患者さんの気持ちによりそう必要がありますし、患者さんや同僚に信頼してもらえなくては仕事が進められません。コミュニケーション能力は重要ですし、誠実さや責任感も非常に大事です。医療は日々進歩していますので、向上心や勉強を継続する姿勢も必要です。これらのすべてを高校生のうちに身に着けておくのは難しいと思いますが、意識してもらうことで身に付けられることが増えるのではないでしょうか(わたしも元々人見知りですが、だいぶ克服してきています)。大学でも色々な経験をしてほしいです。

高校生に伝えたい
メッセージ

弘前は、落ち着いた城下町です。都会ではありませんが、こぢんまりとしているので、徒歩や自転車で通学できますし、周りには豊かな自然があふれています。勉強するには良い環境だと思います。わたしも弘前大学の卒業生の一人です。(学生時代には都会への憧れがなかったわけではありませんが、)弘前大学で学べたことは良かったと思っています。

新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療職種も含めたエッセンシャルワーカーの重要性が再認識されていると思います。医療の仕事は大変ですが、大変重要な仕事でやりがいもあります。

皆さんも医療職者を目指して一緒に勉強してみませんか?