弘前大学には5学部8大学院研究科の多種多様な研究室があります。
「研究室探訪」シリーズでは、個性豊かな研究室をご紹介!
どんな先生がいて、どんな研究・教育が行われているのか、
先生と研究室に所属する弘大生に教えてもらいましょう!
第11回は医学部保健学科 検査技術科学専攻 衛生学・公衆衛生学研究室です。
医学部保健学科 検査技術科学専攻 衛生学・公衆衛生学研究室(宮崎航教授)
先生から研究室の紹介
私たちの研究室では、「すべての子どもたちが健やかに生まれ、育つ環境」を目指し、特に、胎児期から乳幼児期にかけての環境因子(環境化学物質)の曝露*1が子に及ぼす影響について研究しています。研究室では、主に細胞や実験動物を用いた研究を行い、共同研究として疫学研究を行っています。
研究室は常にオープンで、“研究したい!”という学生はいつでもWelcomeです。所属する(所属を希望する)学生は、基本的に学生自身の興味あることをもとに研究を計画して実験をします。研究成果は学会で発表を行い、十分な成果を得られた際には英語論文での発表を目指します。
本専攻では、臨床現場で活躍する臨床検査技師を目指す学生が多いです。一方で、臨床現場で得られた課題・疑問の解決を目指す社会人大学院生や基礎研究を通じて生命現象の解明と医療への応用・新たな検査方法の開発を目指す大学院生もいます。学位取得後はキャリアアップして臨床でさらに活躍する卒業生、教育や研究にたずさわる大学等の教員として活躍する卒業生もいます。
“研究したい!”というそこのあなた!!一緒に研究しませんか?
*1曝露…食べたり、呼吸したり、皮膚に触れたりすることでヒトや環境中の生物が化学物質と接触すること。
研究室選びのポイント!
私がこの研究室を選んだ理由は、子どもが健康で生まれるように、という研究の目的に惹かれたからです。私はもともと公衆衛生学に強い興味があったわけではありませんでしたが、研究室見学で、環境中の化学物質の胎児への影響を研究していて、新しく生まれてくる子どもの健康を守るための研究だと伺い、公衆衛生学の研究がとても身近に感じました。研究室を選ぶときには、研究内容だけでなく先生の研究に対する思いや背景を聞いてみると、共感できる部分があり、より興味が湧くのでおススメです。
研究は、細胞が上手く育たず実験が進まないこともありますが、適宜条件を変えながら培養していくのは楽しいですし、細胞の扱い方も学ぶことができて貴重な経験になったと思います。
私がこの研究室を選んだ理由は、公害や環境汚染といった検査技師を目指すためのこと以外で自分が興味のある分野について、大学で学んだ知識や視点から理解を深められると思ったからです。就職し、病院などの検査業務でどう役立つか?ということよりは、自分がどのようなことに興味を持っているか?を軸に考えて選びました。
また、選ぶ際のポイントとしては、先生方の研究の専門と受け持っている科目の内容が少し違うこともあるので、どのような研究を行っているかよく調べ、情報を集めることが大切だと思います。
私は、大学の講義を受ける中でヒトの発達や発育に興味を持ち、宮崎先生の研究室を選びました。現在は、環境因子が及ぼすヒトの発達・発育への影響を研究しています。宮崎研究室では、主に遺伝子やタンパク質を扱います。目に見えないものを扱う難しさがありますが、一つ一つ明らかにしていく面白さがあると思います。
検査技術科学専攻の研究室は、4年次から配属されることになります。ですが、私は先生に相談し、3年次から先生の研究室にお世話になっています。それは、選んだ研究が自分の本当にやりたい研究なのか、やってみないとわからないと思ったからです。私はこの行動のおかげで、自分のやりたい研究を続けられています。ですから、もし気になる研究室があるのなら、学年問わず、積極的に先生や大学院生に話を聞きに行って、そこが自分に合う研究室なのか見極めるのがいいと思います!
こんな楽しみもある、研究室生活
今まで講義で聞いてきた実験や解析の手法を、自分で手を動かして行うことができる点が楽しいと感じました。
説明を聞いただけでは複雑で理解が難しいと思っていたものも、実際にやったことでイメージがつかみやすくなり、関係する科目への学習を積極的に取り組むことができました。自分が行っている研究の中の手段として実験を行うので、手順一つ一つの意味を考えるようになり、より具体的に解析方法を理解することにつながったと思います。
撮影の思い出
今回探訪するのは医学部保健学科 検査技術科学専攻の宮崎研究室。
臨床検査技師を目指す学生が多いこちらの専攻。どんな研究をしているか気になる高校生の方も多いのでは…?
今回リポーターを務めた二人。
左から学部4年の宮嶋さん、同じく学部4年の山本さん。
最近よく耳にする「SDGs」に関する研究に取り組んでいます。
衛生学・公衆衛生学研究室では、環境因子(環境化学物質)が子どもにどういう影響を及ぼすのかをメインテーマに研究しています。
二人は環境中の化学物質に曝露したエクソソーム*2の情報伝達が、神経細胞や胎児に与える影響を調べているそうです。
*2エクソソーム…細胞から分泌され血液などの体液や細胞培養液中に存在する細胞外小胞の一種。細胞間の情報伝達物質として役割を担っている。
いざ研究室へ!と、その前にエアシャワーで衣服についたゴミなどを吹き飛ばしてから入室します。細胞を扱うこちらの研究室では必須なんです。
研究室では二人の先輩である櫻木さんが登場。PCR装置を使った検査の準備中です。
櫻木さんはニュースで目にした公害問題などのメカニズムに興味を持ち、こちらの研究室を選びました。
新型コロナウイルス感染症を診断するための検査に用いられることからよく耳にするようになったPCR。
動画では、PCR検査の手順や検査結果の見方を櫻木さんが教えてくれています。
こちらは顕微鏡で細胞を観察する様子です。
無色のままでは顕微鏡でも観察しにくいため、見えやすいように染色しています。
みなさんも中学理科の授業でタマネギの根を染色して細胞分裂の観察をした経験があるのでは?
場所は変わって宮崎先生の研究室へ。研究成果がSDGsの達成にどのように関わっているのか、宮崎先生に教えてもらいます。
その他、動画では将来的に研究室を国際色豊かにしたい宮崎先生の想いも語られています。そのためにも「イングリッシュスクール」に通って英語力を磨くのは大事なことですよね、櫻木先輩!
ぜひ動画もご覧ください。
ここで撮影終了です!
SDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」の達成に繋がる研究に取り組む宮崎研究室。興味がある方はぜひこちらに所属して、ともに「子どもたちが健康に過ごせる世界」を目指してみてはいかがでしょうか。
お疲れさまでした!
衛生学・公衆衛生学研究室(宮崎航教授)をもっと詳しく知りたい人へ
■弘前大学研究者総覧ページ 宮崎航教授
https://hue2.jm.hirosaki-u.ac.jp/html/200001029_ja.html
■大学院保健学研究科 生体検査科学領域紹介ページ
https://www.hs.hirosaki-u.ac.jp/web/daigakuin/teacher_detail07.html?id=149&&k=2