弘前大学には「めざせ!じょっぱり起業家」というユニークな名前のプログラムがあります。青森の魅力を高め、サービス産業起業家人材の育成を目的とし、学生が主体となって県内外の企業とともに地域の課題解決に取り組みます。
※「じょっぱり」とは、津軽弁で強情っ張りという意味を持つ方言。
※「じょっぱり起業家」とは、青森県を愛し、青森県のモノに拘り、それを国内外に発信するサービス関連事業を行う起業家のことを指した造語です。
詳しくはこちら。めざせ!じょっぱり起業家 青森の魅力を高める中核人材育成事業
様々な企業と連携して、課題にチャレンジする
平成29年度の「めざせ!じょっぱり起業家」事業は、株式会社あおもり海山、企業組合でる・そーれ(コミュニティカフェ)、株式会社楽天野球団(東北楽天ゴールデンイーグルス)、株式会社コンシス、富士通株式会社および日産自動車株式会社(一般社団法人青森県発明協会)の計6社と連携しています。
課題を解決するために、学生は各グループで「学生カンパニー」を立ち上げます。社長や広報、営業担当など役割を自分たちで決めてひとつの組織として活動し、各企業団体から与えられた課題にチャレンジしていきます。
今回はその中でも学生カンパニー「Hirogress」の取り組みをご紹介します。
Hirogressは弘前大学人文社会科学部の学生6人で構成された学生カンパニー。
このチームに与えられたのは「台湾人向けの青森県専門観光ガイドブックを制作し、台湾で販売する」というミッション。弘前市のWebコンサルティング会社「株式会社コンシス」と連携して課題に取り組みました。
目標は台湾現地でガイドブックが販売されている状態にすること。世界を舞台に青森県の観光ガイドブックを買ってもらうという、壮大なミッションです。
台湾のリサーチ、デザイン、写真撮影…
怒涛のガイドブック制作
まずはターゲットとなる台湾のリサーチから始まりました。
青森県の認知度、どのような観光スポットが人気なのかなどの内容に関わることはもちろん、好まれるデザインや色など見た目の部分もリサーチ。自分たちが住んでいる青森県を世界から見たときの魅力は何なのか、客観的に向き合う貴重な時間を過ごします。
それをもとに全体のコンセプトを決め、全28ページのガイドブックを制作することに決定!紙や中身の写真撮影やレイアウト、文章作りなどたくさんの工程を経て、協力企業の力も借りながら制作を進めました。
ガイドブック制作中、営業と広報担当者は台湾企業への販売交渉へ向けて準備を進めました。
ガイドブックをお店で販売してもらうため、現地にある紀伊國屋書店などの大手書店をはじめ10社以上へ電話をして営業活動を行いました。そこで計8社の企業とアポを取ることができました。
7月から取り組み約1か月、怒涛の制作と交渉準備期間を終え、ついにガイドブックのサンプルが完成!
いよいよ台湾へサンプル品を持って直接交渉に向かいます。
はじめての海外で、はじめての販売交渉
2017年8月27日、ガイドブックのサンプルを持って、ついに台湾へ出発!
学生のほとんどが海外に来ることさえもはじめての状況。
台湾は古い歴史と伝統を持った国であると同時に、いまも急速に経済的な成長をしている街。台湾の雰囲気を楽しみつつ、交渉へと向かいます。
「仕事」としての厳しい意見も
Hirogressは3人ずつ、2つのチームに分かれて交渉に向かいました。
誠品書店、紀伊國屋書店など大手の書店をはじめ、各チーム4社ずつ販売交渉を行います。
ガイドブックの魅力と必要性を真剣に訴え交渉しますが、「ありきたりな情報だけでは売れない」「情報量が少ない」「フリーペーパーでもっとクオリティの高いものがある」「利益を得ることは大手の出版社と同じくらい難しい」など、現地でビジネスとして販売することを考えたうえでの厳しい意見も。輸送方法、海外送金の方法など流通にかかわる部分も指摘してくださいました。
企業の担当者は「学生がつくったもの」という考えではなく、真剣に向き合ってくださり、たくさんのリアルな声からビジネスというものは何なのかを学ぶことができました。また、応援しているという励ましの温かい言葉もいただきました。
目標達成!
弘大生による、“台湾初”の青森県専門観光ガイドブックの販売が成立!
改善するべきアドバイス等をいただきながら、Hirogressは販売交渉を続けます。
そして、7社中1社、
「旅人書房」という旅行に関する本を専門に扱う書店で、ガイドブックを販売して頂けることになり交渉が成立しました!
世界の「仕事」を学ぶ、弘前大学ならではの貴重な経験
Hirogressは台湾での学びを生かし、「旅人書房」への納品するガイドブックをさらにブラッシュアップしていくとのこと。
学生のうちに「世界で通用する」にはどういうことを学ばなければならないのか、肌で実感できるのは弘前大学ならでは。今後も「じょっぱり起業家」たちの活躍に期待です。