弘前大学には5学部8大学院研究科の多種多様な研究室があります。

「研究室探訪」シリーズでは、個性豊かな研究室をご紹介!

どんな先生がいて、どんな研究・教育が行われているのか、
先生と研究室に所属する弘大生に教えてもらいましょう!

第14回は農学生命科学部 植物病理学教室です。

農学生命科学部 食料資源学科 植物病理学教室(田中和明教授)

先生から研究室の紹介

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
田中先生

当研究室では「菌類の分類」を研究テーマとしています。菌類は良くも(抗生物質や発酵食品)悪くも(腐敗や病気)人間生活に関わりの大きい、多彩な生物です。しかし、150万から1200万種が存在すると推定されている菌類のうち、これまでに発見されたのは約15万種に過ぎません。菌類を研究していると、新種に遭遇するのはもちろんですが、新目や新科などの高次分類群を設立し、新たな分類体系を提唱する必要にもせまられます。そのような「枠組み」をいったん作り上げると、世界中から類似する系統群が次々に発見され、菌類の系統関係や進化の歴史に対する考え方ががらりと変わっていきます。私が生きている間にその全容を知ることは到底不可能ですが、「知らないことだらけである」ことや「飼いならす(野外でみつけ、実験室で分離・培養する)のが難しい」こともこの研究分野の面白い点だと思っています。

研究室選びのポイント!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
修士2年
吉岡さん

私がこの研究室を選んだ決め手は、まず研究室の雰囲気です。研究の進め方は教科書や説明書には書かれていないので、自分で情報を集める必要があります。配属当時、優しい先輩が多く在籍し、分からないことを気軽に聞けたため、研究を進めやすかったです。
また、微生物を扱う研究に興味があり、研究内容と自分のやりたいことが一致していました。このような完全な一致は稀だと思いますが、漠然とした興味さえあれば、積極的な学びを通じて充実した研究生活を送れると思います。
どちらの決め手も、実際に研究室を訪問して実感できたことなので、是非見学してみてください!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
学部4年
齋藤さん

研究室選びのポイントは、自分自身が学びたいことであるかどうかだと思います。同じ学科でも、研究室によって学ぶ内容は多種多様です。したがって、研究室配属までに自分がどの分野に興味を持っているのか、どのようなことを学んでいきたいかをよく考える必要があります!
しかし、私は研究室配属前に具体的なやりたいことがうまく定まらなかったので、研究室見学の際には教授の人柄や学生同士の雰囲気に注目して研究室を決めました!(笑)

こんな楽しみもある、研究室生活

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
修士2年
吉岡さん

研究材料 (菌類) を取得するために、野外で採集活動をしています。採集した菌がどの樹木に付随していたかが重要な情報の1つとなるため、自ずと植物の名前も覚えるようになりました。樹木の区別がつくようになると、街中にも様々な木が植えられていることに気がつき、今まで見ていた景色が大きく変わりました
また菌を培養する培地用にジャガイモ、接種試験用にキャベツを育てていて、傷ついたジャガイモは、毎年みんなで料理をして食べています。対象に愛着が湧くため、育てるという活動そのものが楽しみの1つになっています!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
学部4年
齋藤さん

私たちの研究室は学年を通して仲がよく、一緒にご飯を食べたり時にはボードゲームを楽しんだりするときもあります!先輩や後輩などの他学年との交流もあるため、孤独を感じず、課題に直面した際にはすぐ先輩に意見を求めることができ、わからないことをそのままにせずに進めることができます
先日学会に参加して、自分の専門分野をより深く学ぶことができましたし、他大学の学生と交流することもできました。

撮影の思い出

菌類などの研究を行っている植物病理学教室。世界には発見されていない菌類がたくさん存在しており、田中先生と学生たちはこれまでに多くの新種の菌類を発見・命名しています。

食品やお風呂のカビなど、ひょっとするとネガティブなイメージをもたれる菌類ですが、顕微鏡で観察するとその見た目は意外にも綺麗…しかも味噌などの発酵食品や医薬品に活用されるなど、我々の生活に欠かせない存在です。

今回の動画撮影には、そんな菌類に魅入られた研究室のみなさんにご協力いただきました!

さっそく菌類の採集をしに農学生命科学部の校舎裏へ。
手ごろなブナの木を発見したので、高枝切りばさみで枝を採集します。

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室

齋藤さん「ブナって山の中にしかないと思ってました!」

確かにそんなイメージです…。調査を通して、身近なところに意外な植物がいることがわかりました。
ちなみに東京都出身の齋藤さん。弘前に住んで驚いたのは街で野生動物に遭遇したことだったそうです(動画未収録エピソード)。

それでは採集した枝を顕微鏡で観察しに研究室へ。どんな菌類が付いてるんでしょうか。

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
真剣な表情で顕微鏡を覗く吉岡さん
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
枝に付着していた胞子を観察できました

その後、菌類を分離・培養し、情報を得るために行うDNA解析について説明する吉岡さん。
一見すると難しそうな作業ですが、「作業は単純だし、解析は機械に任せるので、炊飯器でお米を炊くのと一緒かも」とのこと。
自分には難しそう…と気構えなくて大丈夫そうですね!

続いて話題は、研究室のみなさんが参加した「日本植物病理学会東北部会」について。
今年9月に農学生命科学部棟で開催された学会へお邪魔しました!

初めての学会発表を前に緊張気味の吉岡さん
齋藤さんも学会運営のサポートをしました
同じ専門分野の研究者が集まる中で新しい知見を発表する瞬間。外部の研究者との交流は研究のモチベーション向上にも

動画後半では田中先生を交えてフリートークをしていただきました。
研究室のお母さん的な存在がいるらしいのですが、誰のことでしょうか?
気になる詳細は動画をご覧ください!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部田中研究室

ここで撮影終了です。お疲れさまでした!

未知の菌類という名のお宝を発見できるワクワクが植物病理学教室で待っているかも?
一緒に研究してみたいという高校生のみなさん、待ってまーす!

植物病理学教室(田中和明教授)をもっと詳しく知りたい人へ

■弘前大学農学生命科学部教員紹介 田中和明教授
 https://nature.hirosaki-u.ac.jp/research/tanaka-kazuaki/

■食料資源学科研究室紹介「菌類(カビ)研究の紹介」(Youtube動画)
 https://youtu.be/7bdCKSmWfpg?si=DY6YHbaqu3tFA1es