弘前大学には5学部8大学院研究科の多種多様な研究室があります。

「研究室探訪」シリーズでは、個性豊かな研究室をご紹介!

どんな先生がいて、どんな研究・教育が行われているのか、
先生と研究室に所属する弘大生に教えてもらいましょう!

第8回は農学生命科学部国際園芸農学科 蔬菜園芸学研究室です。

農学生命科学部国際園芸農学科 蔬菜園芸学研究室(前田智雄教授)

先生から研究室の紹介

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
前田先生

私の研究室、弘前大学農学生命科学部国際園芸農学科 蔬菜園芸学研究室では
青森をはじめとした北日本の気象条件に合った品目の研究をしています。
‘弘前在来’トウガラシ(ブランド名:清水森ナンバ)はブランド化の研究
の他、品種改良にも取り組んでいて、多収な系統や辛くない系統、病害(ウイ
ルス)に抵抗性のある系統などを育成中です。
タマネギでは国の試験場が主催したプロジェクトに参加して、青森県での春
まき栽培に合う品種やケルセチン含量の品種による違いなどを研究しました。
今は青森県内でタマネギ栽培の普及に努めています。
日本で栽培されている野菜は冷涼な気象条件を好む、つまり北日本での栽培
に適する品目が数多く、青森はそうした野菜の産地として適しています(実
は青森県は東北イチの野菜産地なのですが、あまり知られていません)。
当研究室では青森の気象を好む野菜類について、遺伝子から圃場での条件など
さまざまな研究をしています。

研究室選びのポイント!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
大学院修士課程1年
平山さん

その場で動かずに生存できる植物に興味を持ち、自分の身近にある植物でいつも食べている「野菜」に対して興味を抱いていました。新しい品種を生み出してみたい!理系として実験室でいろいろ実験をしたい!と思ったのがこの研究室を決めた理由です。
講義でもいろいろな野菜の生育特徴、主な栽培時期や栽培方法を学べますが、実際に育ててみないとわからないこともたくさんあります。この研究室では、土づくりや播種から始まり、苗の育成、圃場への定植、病害虫対策、収穫と言った農業経験一式をすべて体験できます!また、担当する野菜について成分分析や収量調査といった実験室での実験やデータの収集も行っています。
野菜について知りながら育て、その野菜を食べたい!という人はぜひ蔬菜研究室へ!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
学部4年
佐藤さん

私は昔から食べることが好きで、実家でもよく庭で野菜などを育てていたため、農業について興味を持っていました。その中でも、野菜は普段食べている食事に必ず入っているため、栽培や育種について勉強したいと思い、この研究室を選びました。
蔬菜園芸学研究室では、農作業から収穫物の調査や実験・分析まで行っているため、農業について幅広く学ぶことができます。私はタマネギについて研究していますが、農場では1年中、多くの野菜を育てることができ、幅広く野菜について学べるのがこの研究室の魅力の一つだと思います。
研究室を選ぶ際は、「自分が興味を持ったこと」を中心に考えてみることをお勧めします!

こんな楽しみもある、研究室生活

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
平山さん

収穫した野菜を使って料理し、みんなで食べることができます!
研究室でのバーベキューでは野菜は買わず、自分たちの畑から野菜を採ってきて焼いて食べたとき、この研究室でしかできないことだなと実感しました。

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
佐藤さん

蔬菜園芸学研究室では週1回、農場に行って管理作業や播種、収穫などを行います。実習は一人では行うことのできない作業が多いため、ゼミの人との協力は必要不可欠です。そのため、会話しながら協力して作業を進めていく中で徐々に親睦が深まります。
また、収穫したばかりの野菜を好きな量だけ食べられます。一つの野菜でも、いろいろな品種のものを植えるため、今まで出会ったことのなかった見た目や味の野菜を知ることができ、食の楽しさを知るには1番の研究室だと思います。

撮影の思い出

撮影は2022年(令和4)年9月21日(水)、学外にある千年農場(弘前市原ヶ平)で実施しました。
前日に台風14号が接近し、直前まで撮影できるか危ぶまれていましたが、当日は快晴に恵まれました!
作物にも被害はなかったようで一安心。

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
こちらが千年農場。向こうに見えるのは岩木山。手前の色鮮やかな赤いものは一体…?

今回リポーターを務めた3人。
左から学部3年生の唐崎さん、大学院修士課程1年の平山さん、学部4年生の佐藤さん。
学年は違いますが、みなさんとても仲が良く、楽しそうに撮影に臨んでくれました!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
千年農場では学生実習で野菜などが栽培されています。この日作業していたのは白菜の定植。
みなさん手慣れた様子で畑を耕し、撮影準備中のわずかな時間で一仕事終えてました。さすが蔬菜園芸学研究室のみなさんですね!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室

それではここで、蔬菜園芸学研究室のメイン研究テーマ、弘前在来トウガラシの「清水森ナンバ(しみずもりなんば)」をご紹介!(津軽弁でトウガラシを「ナンバ」といいます)
岩木山の手前で目立っていた赤いものはコレなんです。

真っ赤に熟した清水森ナンバ

弘前藩初代藩主の津軽為信が京都伏見稲荷から持ち帰り広まったこのトウガラシは、正式な品種名を「弘前在来」といい、その名のとおり古くから弘前市周辺で栽培されてきたもの。
一般的な鷹の爪の3分の1程度の辛さで栄養価が高く、ヘタ近くの肩部が角張っているのが特徴!

病気に強く収量が多くなるよう清水森ナンバの品種改良に努める前田教授

輸入トウガラシの影響で一時は絶滅の危機にありましたが、前田教授含む研究グループが保護し普及を続けた結果、
地域ブランドとして確立するほどの大復活を遂げました!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
収穫は6月から始まり、9月末まで行われます
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
採種は千年農場のみで行われ、厳格に管理されています

テレビや新聞などに取り上げられ、清水森ナンバを使った加工食品が地元スーパーや観光施設で販売されるなど広く認知されるように。
こういった取り組みに携わることができるのも、こちらの研究室の魅力ですね。

さて、育てた作物はどうするんでしょうか…?
場所は変わって実験室へ。収穫した野菜の分析を行います。

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
育てて食べるだけではありません。研究者として分析も行います。

最後に、青空の下で採れたての野菜を使った焼きそばにチャレンジ。
出来栄えはいかに…!?
ぜひ動画をご覧ください!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室
弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室

ここで撮影終了です!
野菜と一緒に笑顔も育める、そんな素敵な印象の蔬菜園芸学研究室でした。
お疲れさまでした!

弘前大学研究室探訪_農学生命科学部前田研究室

蔬菜園芸学研究室(前田智雄教授)をもっと詳しく知りたい人へ

■弘前大学農学生命科学部教員紹介ページ
 https://nature.hirosaki-u.ac.jp/staff/tomoo-maeda