弘前大学には5学部8大学院研究科の多種多様な研究室があります。
今回から始まる「研究室探訪」シリーズでは、個性豊かな研究室をご紹介!
どんな先生がいて、どんな研究・教育が行われているのか、
先生と研究室に所属する弘大生に教えてもらいましょう!
第1回は、農学生命科学部生物学科 森林生態学研究室です。
農学生命科学部生物学科 森林生態学研究室(石田清教授)
私の研究室では、八甲田山など身近な山々に生育する樹木や樹木に関わる動植物の生態を研究しています。
メンバーの多くは、さまざまな樹種の開葉・落葉といった季節性に見られる季節適応の実態とその進化の傾向や、多雪環境が森林群集の種組成や遺伝的構造に及ぼす影響についての研究に取り組んでいます。春から秋は樹木の計測や実生の栽培・観察などのフィールドワークに多くの時間をかけていますが、サンプルの分析やデータのとりまとめ、ゼミでの議論は一年中やっています。樹木は寿命が長くて変化がゆっくりとしているためか、研究室の雰囲気はどこか牧歌的で、メンバー各自がマイペースで研究や勉強を進めています。
卒業生の就職先は公務員(県・市の職員、林野庁、大学事務)、企業(環境コンサルタント、造園、機械・部品メーカー、金融、その他)、医療事務、保育士などさまざまです。
研究室選びのポイント!
私がこの研究室を選んだ決め手は、学部1年次に受講した石田先生の『多様性生物学』という講義で『環境の変化に対する樹木の適応』について学び、興味を持ったからです。幼少の頃によく山で虫取りやキャンプをしていたこともあり、樹木に関する話が大半を占めるこの講義を受けて「私はやっぱり森林が好きだ…!!」と気付き、この研究室を選びました。
研究活動では野外調査だけではなく、DNAやRNAを用いた遺伝子実験や学内圃場での植栽試験、自分で編み出したオリジナルの実験など、多様な調査・実験を行うことができました。また、互いに切磋琢磨しながら共に困難を乗り越える“仲間”であると同時に“良きライバル”でもある素晴らしい先輩・後輩と出会えたことも、この研究室に入って得られた大きな収穫の1つだと思います。
ですので、研究室を選ぶ際は、『自分のやりたいこと』と『研究室のメンバー』の2点に注目することをお勧めします!
私の実家は園芸店で、子どもの時に両親の手伝いをしていたことがきっかけで、植物が好きになったことと、小さいときから両親の影響で自然が好きになり、大学でもフィールドに出て自然の中で研究してみたいという気持ちが強かったことから、石田研究室を選びました。
石田研究室は雪山を研究対象にしているので、(人によっては)冬山にも行くことがある、というのも決め手の一つでした。
研究は「面白い」と思うことがモチベーションにつながるので、みなさんも、例えば「授業中に面白いと思ったこと」をとっかかりにして、研究室を考えてみてください。
こんな楽しみもある、研究室生活
森林生態学研究室(通称石田研)における研究生活で楽しいと感じる瞬間は、八甲田のブナ林で調査に取り組んでいるときです。カタクリやスミレ、クジャクチョウ、ヒメオオクワガタ等々、四季の美しい花々や個性豊かな昆虫たちと偶然にも出会えたときは、多様な動植物を育んできた青森の自然に感謝すら覚えます。樹木が様々な動植物に住処を提供したり、葉や木の実などの食べ物を提供したりと、生態系の中で基盤的な役割を担っていることを実感します。
自分の眼で自然環境を観察することで感性が刺激され、新たな発見や学びが得られるのだと考えています。「青森県の豊かな生態系に出会いに行く」という貴重な学びの機会を与えてくださる石田清教授にとても感謝しています。
私たちが所属している石田研のメンバーはみんな仲が良いと思います。野外調査では観察の記録を手伝ってくれたり、毎木調査のように人手が必要な調査の時も一緒に取り組んだりと、協力する姿勢がしっかりしていると思います。
私個人の話になりますが、渡辺さんに誘われて今回インタビューを受けた学生4人でレンタカーを使って八甲田大岳の登山観光に行ったことがあります。あの日の夕食で Curry naan を食べて、蛯名さんの胃が爆発しそうになってたのは思い出深いですね(笑)
撮影の思い出
撮影は令和3年10月25日(月)、青森が誇る大自然、八甲田山で実施。
紅葉の一番いい時期を狙ったつもりが一週間前から降雪があり、雪の中での撮影になるのか…?と慌ててタイヤ交換!
不安もよぎりましたが、撮影当日は気持ちのいい秋晴れ!研究室のみなさんの日頃の行いがよかったのでしょう。
車中では紅葉の名所、城ヶ倉大橋での観光客の多さに驚きの声も。
最初は麓の蔦沼付近。まさに紅葉の季節、こちらも観光の車でいっぱいです。
車を停めるなり何かを探し出す研究室のみなさん。
“イタヤカエデ”の種子を探しているそうです。
雪の下での発芽率を調べる実験に使うとのこと。100コくらい集めたいと言っていました。
撮影の準備が整ったので、近辺の調査地へ移動します。道なき道に入っていきます。
各々自分の研究テーマにしたがってデータをとっていきます。
この様子は動画でご覧ください。
調査が一段落すると、お昼休憩です。
お湯を沸かしてコーヒーを飲んでいます。
野外で飲むコーヒーは格別そうです。
別の調査地へ移動します。
今度は八甲田温泉方面です。また道なき道を進んでいきます。
ゼミのみなさんは、山で道に迷ったり、動物に遭遇したりしたときの対応は、もちろんしっかり学んでフィールドワークにのぞんでいるとのことです。大自然をフィールドにするからにはとても大事なことですね。
こちらでも先ほどと同じように調査を進めます。この様子もぜひ動画でご覧ください。
ここで撮影終了です!
お疲れさまでした!
ちなみに背景の二股の木は左の木がミズナラで、右がブナの、別の樹種の2本の木。
ミズナラが雪解けが早い場所を好む一方で、ブナは雪解けが遅い場所を好むため、両種の大木があたかも二股のように隣り合って生えているのは珍しいことだそう。
自然の営みは奥深いですね!
森林生態学研究室(石田清教授)をもっと詳しく知りたい人へ
■弘前大学農学生命科学部教員紹介ページ
http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/staff/kiyoshi-ishida