message医学部医学科
整形外科学講座
石橋 恭之 教授Ishibashi Yasuyuki

弘前大学医学部医学科 石橋恭之

“靱帯再建術のバイオメカニクス的研究”

わたしはスポーツの外傷の治療と予防、特に膝前十字靭帯損傷に対する研究を行っています。膝前十字靭帯はスポーツ活動中に受傷することが多く、一旦損傷すると自然に治ることはほとんどありません。このため靱帯再建術というものが行われますが、これをバイオメカクニクスの手法から研究しております。

インタビュー動画

Question研究について

― 研究テーマの概要について

スポーツの外傷の治療と予防、特に膝前十字靭帯損傷に対する研究を行っています。膝前十字靭帯は膝の中に存在し、上下の骨をつなぐスジで膝関節を安定させています。スポーツ活動中に受傷することが多く、一旦損傷すると自然に治ることはほとんどありません。このため靱帯再建術というものが行われますが、これをバイオメカクニクスの手法から研究しております。さらに動作解析装置などを用いて、靱帯損傷予防トレーニングの研究をしております。
また運動器の中には前十字靭帯や脊髄など一旦損傷すると治癒しない組織が幾つかあります。我々は組織の治癒機転の基礎的研究、そして再生医学の手法を用いた新規治療法の研究を行っています。

弘前大学医学部医学科 石橋恭之

― 先生がその研究を志した理由、きっかけ。

わたし自身が子供の頃、足の痛みからスポーツを断念した経験から、整形外科が扱う運動器の外傷や障害に関し興味がありました。医師になってからはスポーツ選手の治療に携わることが多くなり、特にスポーツ選手に多い膝関節の外傷や障害の研究を行うようになりました。
また高校時代、同級生が体育祭の騎馬戦で頸髄損傷を受傷し四肢麻痺になるという経験もしました。当時、怪我とか病気は全て医学で治せるものだと信じておりましたが、治せないものもあることを知りました。わたしの教室の中で、脊椎グループの先生達がMuse細胞を用いた脊髄再生の研究もしています。

― 先生の研究への情熱や、哲学、今後の展望など

医師になると皆、各領域の専門医というものを目指します。しかし社会で言うところの専門医は、その医師がある程度の知識を持っていることを示す、認定医です。専門医というのは、その専門領域で、先頭を走っていなければなりません。現在の教科書に書かれているのは全て過去の知識ということになります。より良い治療を追求して、日々研究することが専門医の責務と考えています。

Question教育について

― 学部(学科、課程、専攻等)の特徴(力をいれている教育・研究、雰囲気など)

医学部では入学後からearly exposureといった学外実習などで、早くから医療の現場に関わりチーム医療の重要性などを教育しています。また医師にとって研究能力というのが非常に大事です。通常の学部教育に加え、学生も実際の研究に加わる研究室研究という実習を行い、学会発表なども積極的に行ってもらいます。4年後期からの臨床実習では、学内外の病院でstudent doctorとして実際の医療現場に携わってもらいます。

― 先生の講義の特徴

できるだけ一方通行の授業にならないように、学生との対話を重視しています。

弘前大学医学部医学科 石橋恭之

― 大学で学ぶことで将来どのようになれるか、何に役立てられるか

弘前大学では、医師に必要な能力、基礎から臨床まで広く学べるようなカリキュラムを構成しています。また地方大学ならではですが、数多くの患者さんの治療に学生時代から接することができると思います。大学を卒業しても、バランスの取れた医師になれると信じております。

― 高校生のうちからどのような経験をしてきてほしいか

高校時代は、大学受験だけが一つの目標になりがちです。高校生という多感な時期に、受験勉強だけでは得られない経験もしてほしいと思います。それには音楽でもスポーツでも何でも良いですが、部活動といった課外活動にも力を入れてほしいと思います。医師にとって必要な協調性やリーダーシップなどが身につくと思います。

高校生に伝えたい
メッセージ

弘前大学では、岩木健康増進プロジェクトというものを青森県総合健診センター、弘前市と連携して2005年から開始しています。このプロジェクトには、医学部だけではなく大学全体として取り組んでいます。

ここから得られる岩木ビッグデータは、AI(人工知能)を用いた多くの研究に発展し、現在では全国から30以上の企業も参入、研究開発を行っています。

このような研究ができるのも、弘前という土地柄、また大学全体のチームワークがいいからだと思います。