卒業生の活躍をご紹介する『卒業生インタビュー』、第3回に登場するのはJA長野厚生連 鹿教湯三才山 (かけゆみさやま) リハビリテーションセンター鹿教湯病院で理学療法士として働いている 藤本 知宏 (ふじもと ともひろ) さんです。
現在の仕事の内容や、大学時代の印象に残っている出来事、今後の展望などを伺いました。
長野県内でも有数のリハビリ病院で働く
—今の仕事について教えてください。
長野県上田市の鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院で現在働いています。鹿教湯病院は上田市のはずれ,鹿教湯温泉の温泉街にあります。鹿教湯温泉は名前の通り、鹿が教えた湯という由来があり、古くから湯治場として栄えてきました。そのような場所ということもあり、昔からリハビリを提供していた病院であり、現在ではリハビリのスタッフだけでも200名以上と長野県内でも有数のリハビリ病院となっています。自分はその中でも訪問リハビリテーション部門に従事しています。
高齢化により高まる訪問サービスのニーズ
ー具体的にはどんな業務を担当していますか?
理学療法士は、いわゆるリハビリを担う仕事の1つです。具体的には、病気、怪我、高齢、障害などによって運動機能が低下した人達に対して、運動機能の維持・改善を目的に運動を行ったり、温熱、電気、水、光線などによる物理療法を行います。また運動機能の回復だけでなく、日常生活動作(ADL)の改善を図り、最終的にはその方のQOL(生活の質)の向上を目指します。病気、障害があっても、もともと生活していた環境で、自分らしく暮らすことができるように支援していく仕事となります。
就職当初は病院でリハビリを行っていましたが、5年前から訪問リハビリに異動し、利用者様の自宅に訪問してリハビリを行っています。リハビリというと病院で行っているイメージが強いかと思われますが、近年では高齢者や障害者の増加とともに、病院だけでなく地域で支えていくという考えが広まっています。そのような流れもあり、訪問リハビリを行う事業所は年々増加しています。また長野県のような高齢化率が高く、山間地域の多い場所では通院が難しいため、このような訪問サービスのニーズが高いです。
訪問リハビリで行っていることは院内でのリハビリと大きく変わりませんが、その方の生活の中に入っていくためADLやQOLにより視点を置いていっています。病院では皆さん同じような環境で生活されますが、自宅での生活環境はひとそれぞれ異なります。ひとり、ひとりの価値観や生活習慣などを大切にしていく必要があります。
また地域で働いていることもあり、普段の仕事以外にも地域の方への健康指導や体操指導なども行い、障害の予防という観点でも関わっています。
加速度計を用いたリハビリについて、研究を続ける
ー学生時代について教えてください。大学生活で印象に残っていることはありますか?
それほど意識高い系ではなかったので、学生時代に特別なことは行っていませんでしたが、保健学科のメンバーで設立した健康増進サークルに入り、バドミントンを行っていました。バドミントンは特に上達しませんでしたが、大学入学当初は90㎏近くあった体重を70㎏台まで減らすことにつながり、まさに健康増進になったと思います。
在学中は藤田ゼミに所属し加速度計を用いた立ち上がりについての研究を行っていました。ゼミ生が学年で1人だけということもあり、先生とは研究以外にも色々と相談(主に恋愛)に乗ってもらったことが懐かしいです。また卒業研究を先生の提案で理学療法士の全国学会に発表することとなり、臨床以外にも研究に対しても興味を持つきっかけとなりました。現在も地元の大学院で加速度計を用いた歩行分析について研究を行っています。
大学で出会えた大事な仲間
ー弘前大学での学びや経験が,社会人になって活かされていると感じるのはどんなときですか。
日本各地から理学療法士を目指して集まった仲間たちに出会えたことが一番です。卒業後、青森から全国に散らばり、それぞれ理学療法士として様々な分野で活躍しています。時々学会などであって、話を聞くと自分も負けていられない!とやる気を鼓舞するきっかけとなっています。そんな彼らは大事な仲間であり、ライバルだと思っています。
心の支えになれる理学療法士に
ー仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか?また、今後の展望を教えてください。
一番は自分が担当していた人が元気になって、けがや障害を負う前に近い生活を送ることができるようになった時です。院内にいた時に担当していた方で、入院当初は全く歩けずにいつも泣いていましたが、リハビリを行い1人で歩いて笑顔で退院された時は、この仕事に就いて本当に良かったなと思いました。
自分は理学療法士としてまだまだ未熟であり、患者・利用者様の想いに十分に応えられているか考えることがあります。「あなたが来てくれて良かった。」と言っていただけるような、利用者様の心の支えになれる理学療法士を目指していきたいです。
また、今後高齢者が増加して要介護となる方が増えてきます。先ほども話したように疾患にかかってからでなく、予防の観点でもっと地域の方の健康増進に関われるようになりたいと考えています。
どんどんチャレンジを!
ー最後に、弘大生やこれから大学を目指す受験生へメッセージをお願いします。
自分は入学当初から理学療法士になるという目的で大学時代を過ごしていましたが、今考えるともっと色々なことにチャレンジしても良かったなと思っています。弘前は、春は桜、夏はねぷた、秋は紅葉、冬は雪(多くてびっくり!!)と四季が明瞭で、冬以外はとても過ごしやすい環境だと思います。そのような環境で、自分のしたいこと、なりたいことにどんどん挑戦していってください。