弘前大学で活躍中の現役学生をご紹介する『在学生インタビュー』、第22回は、株式会社Mari Companyに所属し、マラソンランナー 谷川真理氏の指導を受けながら全国のマラソン大会で活躍している 三上 爽子(みかみ さわこ)さんです。谷川氏との出会いや大会のこと、走ることの楽しさなどについて伺いました。

りんご産業に関わる仕事がしたい!

ー農学生命科学部国際園芸農学科の志望理由を教えてください。

青森県弘前市出身で、りんご産業に関わる仕事がしたくて志望しました。
祖父がりんご試験場(現りんご研究所)でりんごの研究をする仕事をしていて、同じような仕事がしたいなって。小さいときから家に農家さんがいっぱい来ていて、ずっとりんごが身近な存在でした。
りんごの栽培に興味があったので、入学当初から今の研究室を志望していました。

ー陸上競技はいつから?

中学のときから陸上部で、本格的に始めたのは高校からです。高校は陸上部に入るつもりじゃなかったんですけど陸上女子にかっこいい先輩がいて!高校時代はずっと先輩に付いていっていました。当時は本当に恥ずかしいくらい遅くて。高校でびりでしたし、1年浪人していた間全然走っていなかったので、大学では続けるつもりはなかったんですけど、大学でも陸上部に入っていたその先輩が「もちろんやるよね?」と誘ってくださって。嬉しくてそのまま入っちゃいました(笑)。のせられて(笑)。

インタビュー中の三上さん
インタビュー中の三上さん

谷川真理氏との出会いは「走れメロスマラソン」

ー長距離との出会いは?

高校で部活を引退してから、五所川原市の「走れメロスマラソン」にエントリーしたんです、ロードレースの10キロに。それまで10キロなんて走ったことなかったんですが、優勝できて。今振り返るとそれがターニングポイントだったのかなと思います。そのときのゲストランナーが谷川真理さんでした。「すごいね」と声をかけてもらえて嬉しくて、初めての優勝経験でしたし、“陸上が楽しい”という気持ちがその大会で見つかった感じがします。

—株式会社Mari companyに所属することになった経緯を教えてください。

ゲストランナーはゼッケンをつけるんですけど、走れメロスマラソンで初めてお会いしたときに、真里さんがそれをくださったんです。サインつきで!世界に一つのものをくれたというのがすごく嬉しくて。今も部屋に飾っています。そのときから谷川真理さんっていい人だなとずっと思っていました。
2年生の12月に千葉で第1回谷川真理クリスマスマラソンという大会があって、また会えるかもと思って参加しました。フルマラソンは初めてで、完走できるか不安だったんですが、優勝できました。それで、主催者だった真理さんに、2年前に走れメロスマラソンでお会いして、もう一度会いたくて青森から来ましたと伝えたらすごく喜んでくださって。それから、3年生の5月に「走れメロスマラソン」で、また真里さんがゲストランナーでいらっしゃったので、打ち上げの時に「走るのがすきで、いろいろなことをやってみたいと思ってます」という話をしたら、マネージャーの方が「いいね」と。それがきっかけで、「谷川真理プロジェクト」という育成制度ができ、私もお話をいただいて株式会社Mari companyに所属することになりました。

—「谷川真理プロジェクト」ではどんなことしているのですか?

大会に出る機会をいただいているというのが一番大きいです。大会のPRランナーを務めることもあります。今年は北海道の「ノーザンホースパークマラソン」にPRランナーとして参加しました。ももいろクローバーZのライブとスポーツが融合したイベントで走らせてもらったり、東京マラソンのプレイベントでDoleのバナナPRイベントを猫ひろしさんとやったり、いろいろなイベントにも参加させていただいています。
育成については、大会の時に直接アドバイスをいただいています。走り方やシューズの選び方などを教えていただいて。普段もLINEでちょっとしたことも気軽に教えてくださいます。朝はバナナやアボカドを食べなさいとか、カリウムの多いものを食べたほうがいいとか、食事のこと、大会前の体調管理とかもアドバイスしてくださいます。


ももクロイベント
ももクロイベントにて
東京マラソンプレイベント
東京マラソンプレイベントでの一枚

三上さんと谷川真理氏
谷川真理氏(左)と三上さん(右)。埼玉の熊谷さくらマラソンにて

地元のランニングチーム・弘前大学陸上競技部での練習

ー弘前市のランニングチームHNYGD.(ハニーグッド)と 弘前公園ランニングクラブにも所属しているそうですね。

2つのチームと知り合ったのも、2年のときの「走れメロスマラソン」です。真理さんと代表の方が知り合いで、紹介してくださって。練習に参加するようになりました。
地元でつながりができると違いますね。知り合いが増えたので地元の大会に出るのがすごく楽しいです。それと、本当にいろんな人がたくさんアドバイスをくれるのでありがたいです。私は今、フルマラソンでサブスリー(3時間未満のタイムで走ること)が目標なのですが、同じくサブスリーを目標にしている人やさらにもっと上のレベルの人もたくさんいて刺激になります。
チームのみんなと遠征して大会に出たり、リレーマラソンにチームで出たりもしています。
チームの人はみんな社会人で、仕事をしながら活動しているので、そういうのを見ていると自分も就職してからも続けたいなと思います。

—弘前大学陸上競技部ではどんな活動をしているんですか?

自分たちで月ごとにメニューを考えてやっています。後輩と走ると楽しいし、今2年生に1人、1年生は2人女子がいて、伸び代がすごいので刺激をもらってます。

弘前大学陸上競技部で出場した恐山往復駅伝競走大会
弘前大学陸上競技部として出場した恐山往復駅伝競走大会

全日本大学女子駅伝へ出場。育ててくれるみんなに結果で返したい

ー令和元年には第37回杜の都全日本大学女子駅伝2019にも出場したそうですね。

東北学連選抜のチームで出場しました。4月から9月までに5000メートルのタイムを2本申請して選考が行われるんですが、1年生の時は箸にも棒にもかからない感じで。4年生で、これが最後のチャンスかもしれないと思って、大会でタイムを作って申請しました。

実際行ってみると、テレビで見ていた選手が目の前にいて、自分と同じ区間を走るので、すごく緊張しました。私は5区だったんですが、走っている時に弘大や東北学連選抜を応援してくれる声がすごく多くて嬉しかったのと、個人で走るマラソンとはまた違うなと思いました。出走者に選ばれるかどうかとか、どの区間を誰が走るのかとか、チーム競技ならではのことはあまり経験がないので、最初は不安なところもありましたが、チームのみんながいい人たちで、楽しかったですね。駅伝っていいなと思いました。私の目標としては、大学院への進学が決まっているので、あと2年大学にいるうちに弘前大学で予選会に出ること。今1年生には来年出ようねと言ってるんですけど、駅伝は6人チーム。あと3人くらい新入生が入ってくれればなんとか…。「弘前大学」として予選会に出たいですね。

—走ることの楽しさは??

目標に向かって一生懸命になれるところです。
練習は楽しいだけじゃなくて、朝眠いときも、休もうかなって思うこともあります。でも練習に行ってみんなに会えること、成長を感じられる瞬間が嬉しくてやめられません(笑)。フルマラソンも本当に辛すぎて走っているときは二度と走らない!って思うんですけど、ゴールすると、あーよかったなとか楽しかったなって思っちゃうんですよ。奥が深いなって思います。フルマラソンはとばしすぎたらぜんぜん最後までもたないし、何が起こるかわからなくて怖いけど楽しいですね。すごくみんな頭を使っているんだなと思います。私はあまり頭を使わないタイプだったので、「つっこみすぎ」って真理さんにも地元のチームのみんなにもすごく言われます。ペースはこうしたほうがいいとか、給水や補給食は何キロごとにとったほうがいいとか。すごくいろんな方に育ててもらってるんです。今の私は本当に弘前の人と真理さん、みんなに育ててもらってここまで来てるので、結果でみんなに喜んでもらいたいというのがあります。

杜の都全日本大学女子駅伝のメンバーと
杜の都全日本大学女子駅伝の東北学連選抜メンバーと

地球温暖化のりんごへの影響を調べる

ー学業のことについてもお伺いします。国際園芸農学科での学修や、マラソンとの両立というところではどうですか?

国際園芸農学科必修の海外実習ではニュージーランドに行きました。一番感じたのは、コミュニケーションツールとして英語は大事だということです。海外に興味が出ました。海外に友達ができたのもうれしかったです。

4年生で教育実習があって、その前後にも教育実習中にも大会があってなかなか大変でした。大会の予定をいれなければいい話なんですけど、マラソン大会って結果を出すと別の大会に招待されることがあるんです。真理さんのプロジェクトの他にも、青森県から声をかけていただくこともあって。学生のうちしか出られない大会もあると思うと出たいなと思っちゃって(苦笑)。1・2年生ではそこまで大きい結果を出せていなかったんですが、3・4年生からタイムものびて、結果も出始めたので、それと勉強が忙しくなる時期がちょうど重なってしまいました。今卒論がけっこう大変ですが、頑張るしかないですね。
卒論では、地球温暖化で気温が上がったときに、りんごの実をつけるための“花芽”にどのような影響があるのかを遺伝子レベルで調べています。あえて温室で気温を上げてりんごの木を育てて、温室内のりんごと露地栽培のりんごとを調査して、どう違いが出てくるか。もし遺伝子的に違いが出てくるならば、今後温暖化が進んだときに遺伝子操作で変なりんごができないようにできるか、そういうことをやっています。

実験中の三上さん

弘大だからこそできる、いろいろなことに挑戦を!

ー最後に受験生へ向けてメッセージをお願いします。

私はいい意味でこういう大学生活になると思ってなくて、思っていた以上にすごく充実していてます。これから入学する皆さんにもいろいろなことに挑戦してほしいですね。趣味をみつけるのもいいし、いろんなサークルをかけもちするのもいいと思うし。新しいことを初めてみたり。4年生になったときに、いろんなことしたなって思えるように。私は弘大じゃないとマラソンはやっていなかったので、せっかく弘大に入ったからこそできることをやってほしいです。
個人的には、できれば全日本を目指すような人が入ってくれたらとても嬉しいですね。一緒に走りたい。大学からマラソンを初めてもいいと思いますし、ぜひ。

第1回谷川真理クリスマスマラソン表彰時の一コマ

Profile

農学生命科学部国際園芸農学科4年
三上 爽子さん

株式会社Mari Company所属マラソン選手 。
青森県弘前市出身。青森県立弘前中央高等学校を卒業後、弘前大学農学生命科学部国際園芸農学科へ進学。田中紀充助教の果樹園芸学研究室に所属し、「リンゴの高い気温下における花芽形成の調査」をテーマに卒業研究に取り組む。株式会社Mari Companyに所属し、マラソンランナー谷川真理氏の指導を受け、全国の大会に出場する他、各種イベントにも出演する。弘前大学陸上競技部、弘前市内で活動するランニングチームHNYGD.とNo Apple No Lifeに所属。