学生たちの活躍をお伝えしている『ひろだいLIFE』。
今回はサークル・部活紹介第3弾!
弘前大学には100以上の部活・サークル・団体があり、それぞれ個性豊かな活動をしています。

その中でも、名前を聞いただけではどんな活動をしているかわからない?でも実はすごい人がいる団体、探検部と翻刻部をご紹介します。
名前からはイメージできなかった、それぞれの部活に対する思いや活動の様子をお伝えします。

大学からは新しいことを始めたい!人と違う活動をしたい!と思っている方は、ぜひ参考にしてください。

日本代表を狙えるチャンスがここに!
探検部

弘前大学 探検部
キャンプでの集合写真
概要
探検部
1973年設立。
山(登山・沢登り)・川(ラフティング)・洞窟・冬山・クライミングと5つの部門にわかれて活動している。川部門ではレースラフティングの大会に出場し、今は日本代表を狙えるレベルに。
部員は50名弱で男性6割、女性4割(2020年1月現在)。
活動内容
登山、沢登り、洞窟探検、冬山トレッキング、自転車ツーリングなどアウトドア全般の中から、希望する活動に参加。自分たちで自主的に企画し活動。日々の練習では個々に筋トレを行っている。
SNS・Webサイト
探検部 原祐希さんと部長の柄澤賢吾さん
原祐希さん(左:大学院理工学研究科2年)と部長 柄澤賢吾さん(右:人文社会科学部3年)

みんなに言いたい!ウチの自慢!

柄澤さん:危険と隣り合わせの自然の中で活動するので、部員間の信頼関係が強い!先輩後輩の垣根のない、家族みたいな仲間ができます!
原さん:普通に生きていたら見ることがない景色が見られる!弘大で一番と言えるくらい、特殊な経験ができる環境がある!

― 探検部に入ったきっかけについて教えてください。

柄澤さん:もともと家族でキャンプに行く機会があり、アウトドアに興味がありました。高校とは違う部活に入りたいと思っていたところ、大観誘会の時、探検部のPVで川にとびこんでいるのを見て、すごく楽しそうだなと思って。それが決め手ですね。

原さん:長野県出身で、祖父が山の上に住んでいることもあって山登りは身近な趣味でした。自転車で隣町やふらふらっとどこかに行くのも趣味だったので、探検部に入ればその趣味が続けられるかなと思い入部しました。

― どんな活動をしていますか?

柄澤さん:登山や、沢登りの他、他県に行って洞窟探検などをします。青森県には洞窟はないので、岩手県の龍泉洞など県外に遠征しています。他には、自転車で遠くにツーリングしたり、特殊なのが、三陸海岸や岩木山のまわりをスタートとゴールを決めてひたすら歩いたり(踏破)。冬は近場の梵珠山などの低山でトレッキングを行っています。
普段は、体育館の鉄棒で懸垂をしたり、トレーニングルームで筋トレをしたり。探検で滝や穴に降りていくときにロープワークが必要なことがあるので、その練習もしています。

原さん:自分たちで企画をして活動ができます。弘前って湧き水がすごく多いので、それを飲みに自転車で巡ったり、海岸で24時間獲ったものしか食べられないサバイバルをしたりしたこともあります。
探検では地図や地形図、コンパスを使って目的地を目指します。すごい景色に出会えるので、写真が趣味になる人もいます。
活動は主に週末なので、平日は勉強やアルバイトにあてることができます。

探検部 登山
探検部 沢登り

― 探検部で身に付いたことは?

柄澤さん:アウトドアの知識が身に付いただけでなく、もともと優柔不断なほうでしたが、計画を立てそれを行動に移す力、決断力が身に付いたと思います。去年は四国まで川下りに行きたくて、普通だったら飛行機で行く距離だと思うんですけど、車で行く計画を立てて行ってきました。移動だけで丸一日かかりました(笑)
普通に生活していたら行かないようなところに行きますし、遠征の道中で街並みを見れたり地域の風土を感じたりできるので、見聞が広がりますね。

原さん:山登りで冬山なんかは特に道がないところを登る場合もあるので、周りを観察する力、ものを見る力がついたと思います。あと、自分が企画のリーダーになったときは計画を立て、連絡調整をするので、対外的なコミュニケーションもとれるようになりました。ラフティングの練習メニューを考えることで、全体を組み立てる力も身に付きました。

― 2019年7月に優勝した盛岡・北上川ゴムボート川下り大会ってどんな大会?

原さん:北上川ゴムボート川下り大会は、参加者が世界一多いということで、ギネス記録にも掲載されたことがある大会です。北上川はそんなに流れが激しくないので、初心者も参加できます。速さを競い順位がつくタイムレース部門と、自由に川下りを楽しめるフリーレース部門があり、タイムレース部門で出場しました。2018年に探検部で持っているボートで参加したのですが、ボートの大きさが規定外で注意を受けてしまって。2019年は新たにボートを購入して優勝し、リベンジを果たしました。優勝賞品でもボートをもらったので、購入したものと併せて2艇、探検部に残していきます。来年度以降、後進に続いてほしいです。

レースラフティング
ラフティングとは、ラフトと呼ばれるゴムボートで川を下るスポーツ。レースラフティングでは川下りのタイムを競う。
盛岡・北上川ゴムボート川下り大会で優勝
盛岡・北上川ゴムボート川下り大会で優勝

― どんな練習をしたのですか?

原さん:コーチはいないので、毎年3月に東京・多摩川で開催されるカヌースクールに参加したり、YouTubeにアップされているカヌースラロームの動画を見て練習に取り入れたりしています。
大学4年生までは探検部の他の活動にも参加していたんですが、大学院では研究に時間を使うので、ラフティングに絞って活動していました。

― 今後の目標は?

柄澤さん・原さん:弘前大学のレースラフティングは日本代表を狙えるレベルにいるので、世界大会を目指してほしいです。

― 高校生へのメッセージをお願いします!

柄澤さん:経験がなくても大丈夫です!今までの生活を変えたい!やってみたいという活動意欲があればいいので、気後れせず参加してほしいです。

原さん:何かで日本代表になれることってそうそう無いけれど、ラフティング日本代表を目指せるチャンスが弘前大学探検部にはあります。ぜひそのチャンスをつかんでほしいです。

元探検部 弘前大学理工学部地球環境学科(現:地球環境防災学科)卒、西目屋村地域おこし協力隊 入野谷 千代子さんの記事はこちらから


読めない文字を解読する喜び
翻刻部

弘前大学 翻刻部
オープンキャンパスでの展示の様子
概要
翻刻部
2016年に設立。
昔の文献や資料に書かれた文章を現代の活字に起こして読む部活。主に授業期間の火曜日18時から活動。部員は10名。男性1名、女性9名(2020年1月現在)。
活動内容
日本の古典を題材に、くずし字(ニョロニョロとつなげて書かれた文字)で書かれた文章を部員で分割して、ひらがなに直し、現代語訳。読みかたや意味を部員で共有。
入部当初は、元の歌を知っているような百人一首から読んでいく。
SNS・Webサイト
翻刻部部長 寺本碧季さん
部長 寺本碧季さん(人文社会科学部2年)

みんなに言いたい!ウチの自慢!

寺本さん:大学の必修科目で学ぶ文献を部活でも読むので、より講義内容がわかりやすくなります!この字を書いた人がいたんだな、と、文字から昔の人の姿が見えるようになります。
和賀さん:最初はみんなわからないところからのスタートです。文字を読む作業がパズルのようで、調べて当てはめていく作業に達成感があります!

部長の寺本碧季さん、副部長の和賀葵さんにお話を伺いました。

― 翻刻部に入ったきっかけについて教えてください。

寺本さん:書道を習っていてくずし字を書いてはいたんですが、正直何と書いているのかよくわかっていなくて。元の字の形がわからないと支障があると思っていたところ、和賀さんに誘われて。書道のためにもと思い、入部しました。

和賀さん:大学会館に貼られていたポスターに「くずし字が読めるようになる」と書いてあって楽しそうだと思い。私も書道を少しやっていたのと、高校のときから古文がすきだったので、くずし字が読めると思うとわくわくして、入学当初に仲良くなった寺本さんを誘って入部しました。

― どんな活動をしていますか?

寺本さん:主にひらがなのくずし字を解読していくのですが、くずし字は50音だから50個というわけではありません。一つのひらがなにつき何通りものくずし字があるので、「仮名変体集」を片手にいろいろな文献を読みながら、文字の癖を覚えていきます。違う字なのにくずし字になると似ているとか、全部繋げて書かれているので、どこまでが一文字かわかりづらいとか、奥が深いです。
最近は長編小説のような文献を、一人何ページか分担して読んでいます。ひらがなに直し、現代語訳、語釈を付けて、部員みんなで共有、わからなかった部分はみんなで考えます。

和賀さん:弘前市立図書館が所蔵している資料で、弘前藩の名所が双六(すごろく)になっているものがあります。双六のマス目に、例えば岩木山が描いてあって、その下に岩木山にちなんだ俳句が詠んであるというようなものです。それを一人何句ずつか振り分けて、解読する、という活動もしてきました。
「津軽デジタル風土記の構築プロジェクト」という、貴重な歴史資料をデジタル化してウェブサイトで公開しようという弘前大学の取り組みがあるので、津軽地域の資料を翻刻したものはそこに掲載される予定です。

※追記 「津軽デジタル風土記」ホームページが公開されました。

間違いやすいくずし字
間違いやすいくずし字。「か」のくずし字には「う」に似ているものがある。(出典:『増補改訂 仮名変体集』新典社)
発句合外浜名所双六
弘前藩の名所が描かれた「発句合外浜名所双六」(弘前市立弘前図書館蔵)

― 翻刻部で身に付いたことは?

寺本さん:何よりくずし字が読めるようになるので、講義で使われる昔の資料でも何が書いてあるのかわかるようになりました。翻刻の知識だけでなく、昔の本の読み方、ページの数え方など、資料としてどう読むかの知識も増えました。

和賀さん:例えば江戸時代の版本に「天狗の内裏」という源義経が鞍馬山の天狗に兵法を教えてもらう物語があって、この物語は仏教用語も多く、言葉の意味も勉強できました。
博物館に行って展示を見るときに、この人の文字はきれいで読みやすいとか、ちょっと読みづらいとか、徳川家康とか歴史上の人物も「こういう字を書く人なんだな」という視点で見られるようにもなりました。翻刻文も別に飾ってあるんですけど、自分で読めると達成感があります。

― 第9回全国学生防災書道展で復興大臣賞受賞、青森市文化賞受賞したそうですが?

寺本さん:通っている書道教室から、大学1年生の時に応募した作品で復興大臣賞を受賞しました。このことで、青森市文化賞もいただけることになりました。

― 翻刻をしていて、書道に役立ったことはありますか?

寺本さん:以前は先生に聞かないとわからなかった文字の書き方や筆の動かし方を、自分で考えたり、調べたりできるようになりました。翻刻部は私みたいに書道とか、何かの役に立てたいと思っている人にも向いていると思います。

第9回全国学生防災書道展で復興大臣賞を受賞した作品
第9回全国学生防災書道展で復興大臣賞を受賞した作品

― 今後の目標は?

寺本さん・和賀さん:まずは部員が増えてほしいなと思います(笑)

寺本さん:私は深浦円覚寺への古典籍調査に行きたいです。部活では、プリントしたものを読んでいるのですが、調査へ行くと原本が読めるので、行ってみたいです。

和賀さん:漢字をもっと読めるようになりたいです。漢字の数は果てしないので、チャレンジしてみたいです。

― 高校生へのメッセージをお願いします!

寺本さん:「翻刻部」という名前からは勉強系で難しい活動のイメージがあるかもしれませんが、気軽に楽しめる部活です。かっこいいものを学べるので、ちょっと他の人と違うスキルを身に付けたいという人におすすめです。さまざまな資料にふれることができるので、古典が好きな方は、ぜひのぞいてみてください。

和賀さん:大学に入って新しいことをやりたいという人は多いと思います。その選択肢の一つとして考えていただけると嬉しいです。おいしいお菓子を食べながら、翻刻を一緒に楽しみましょう!