弘前大学には5学部8大学院研究科の多種多様な研究室があります。

「研究室探訪」シリーズでは、個性豊かな研究室をご紹介!

どんな先生がいて、どんな研究・教育が行われているのか、
先生と研究室に所属する弘大生に教えてもらいましょう!

第17回は医学部医学科 血管・炎症医学講座(旧脳血管病態学講座)です。

医学部医学科 血管・炎症医学講座(川口章吾助教)

先生から研究室の紹介

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
川口先生

血管・炎症医学講座は、さまざまな疾患の背景にある急性・慢性炎症の病態解明をテーマにして研究を行っています。慢性炎症は、生活習慣病や動脈硬化症、がんなどの非感染性疾患(non-communicable diseases; NCDと呼ばれています)の発症や進展に関与しています。また、ウイルス感染症のような感染性疾患の重症化にも深く関わっています。我々はこれらの疾患に共通する病態である自然免疫系を介した炎症の慢性化機序に着目し、これを明らかにすることで新規治療法につながるような研究を目指しています。
講座は今泉教授以下4名で構成され、それぞれが独自のテーマで研究を進めています。また、多くの臨床講座の先生たちとも共同研究を進めております。大学院での研究テーマはそれぞれのバックグラウンドに合わせて柔軟に対応することが可能です。
私達の講座に興味をもたれた方は是非ご連絡ください。一緒に研究をしてみませんか。

研究室選びのポイント!

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
学部3年
大村さん

研究室選びのポイントは、興味のある研究分野であるかどうかです。私は医学部の講義を受ける中で、免疫学や免疫が関連している炎症性疾患に興味をもつようになりました。血管・炎症医学講座では、免疫や慢性炎症に関する研究をしていることから、自分の興味に合った研究テーマに取り組めるのではないかと考え、血管・炎症医学講座を選択しました。また、基礎系の研究室で様々な実験に触れ、少しでも多くの実験手法を学びたいと思っていたのも研究室を選んだ理由の一つです。

こんな楽しみもある、研究室生活

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
大村さん

先生方や大学院生と交流できることが研究室生活の楽しみの一つです。川口先生や大学院生の先生方は医師としての臨床経験をお持ちです。基礎研究だけでなく、臨床経験を有する先生方から聞けるお話は興味深く、大変勉強になります。質問をした際は、毎回丁寧に答えてくださいますし、真面目な話だけでなく趣味の話やご飯の話題など、いろいろなことをお話ししています。話題が尽きることはありません!興味のある研究ができるだけでなく、優しい先生方との交流もあり、楽しい研究室生活を送っています。

撮影の思い出

今回ご紹介するのは血管・炎症医学講座。撮影当時は脳血管病態学講座でしたが、2024年1月の改組に伴い、現在の講座名になりました。

こちらでは「慢性炎症」について研究しています。
炎症といえば体外の異物に対する生体防御としての発熱や腫れなどの急性炎症がイメージしやすいですが、慢性炎症は自覚症状がほとんどなく、体内でくすぶるように続く状態を指します。

それでは普段どのようにして慢性炎症の研究をしているのか見せていただきましょう。
撮影スタート!

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室

研究室にやってきました!
炎症には免疫細胞や血管内皮細胞などが関与することから、細胞の研究は欠かせません。
そのため細胞を培養し、観察する実験機器が備えられています。

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室

通常の細胞と、刺激してウイルスに感染したような状態の細胞を比べてみますが、顕微鏡で観察するだけでは炎症を起こしているのかわからず…
どうしたら炎症しているかどうかがわかるんでしょうか?

赤くなったり大きく形が変わったりすればわかりやすいのですが…

川口先生によると、見た目では変化がなくても細胞中の遺伝子やタンパク質に変化があるそう。
そこで「ウェスタンブロット法*」という手法を用いて変化を調べてみます。

*ウェスタンブロット法(Western blotting)…電気泳動によって分離したタンパク質を膜(メンブレン)に転写し、抗体を用いてタンパク質の存在を検出する手法のこと。

向かった先は暗室。フィルム式写真の現像作業をする部屋ですが、ここで行う実験はまさにその作業。

ただし写真ではなく炎症が起きたときに生じるタンパク質の発現量を見ます。
立崎先生に実験の工程を詳しく説明していただきましたのでぜひ動画をご覧ください!

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室

続いて、川口先生が解析の結果を説明。
顕微鏡ではわかりませんでしたが、炎症に関連したタンパク質が検出され、時間による発現量の変化がはっきりと見てわかるように!

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室

このようにして日々研究されているんですね!
川口先生、ご解説ありがとうございました。

炎症が長期間続くと、生活習慣病やがんなどのさまざまな疾患を引き起こす可能性があるため、そのメカニズムを解明して新たな治療法や予防策が開発されることが期待されています。

血管・炎症医学講座の研究に興味をもった方はぜひ一緒に研究してみてませんか。

続く動画後半のフリートークでは小堀先生にも登場していただき、みなさんで研究室について語っていただきました。同じ炎症といってもいろんな研究分野があるので、自分の興味があるテーマに取り組みたい方はこちらの研究室が向いてるかも!

また、製薬業界を経て学士編入した大村さんの体験も伺うことができました。
2回目の学生生活を満喫されているとのこと。素敵ですね!

弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室
弘前大学研究室探訪_医学科 川口研究室

笑顔が絶えない素晴らしい撮影でした!
お疲れさまでした!

血管・炎症医学講座(川口章吾助教)をもっと詳しく知りたい人へ

■弘前大学研究者総覧ページ 川口章吾助教
 https://hue2.jm.hirosaki-u.ac.jp/html/200000550_ja.html

■弘前大学大学院 医学研究科附属バイオメディカルリサーチセンター 血管・炎症医学講座
 https://timaizum.wixsite.com/vbversion2