弘前大学には、朝食をしっかり食べてテストに臨んでほしいという思いから前期と後期のテスト期間中、2週間限定で実施される「100円朝食」があります。弘前大学と弘前大学生活協同組合(通称:生協)が企画し、1日150食限定で提供しています。
大学に入学して初めての一人暮らし、「自炊をしてやっていけるか不安…」という高校生の皆さまも、「ちゃんと食べているのか心配」という保護者の皆さまも、「しっかり食べて試験に臨みたい」という在学生の皆さまも、安心できる取組が100円朝食です。
この取組について、弘前大学 文京食堂 Horest 店長の小野美穂子さんにお話を伺いました。
弘大と弘大生協スタッフの思いが詰まった100円朝食
― 2015年から始まった100円朝食。今年で4年目の取組だそうですね?
- 正しい食生活を習慣づけてほしい
- 青森県産の食べ物を知り、食べてほしい
- 朝食を摂って元気に試験に臨んでほしい
これらの3つの思いから、弘大と弘大生協の共同企画で始まりました。
普段も生協食堂では300円の日替わり朝食が提供されていますが、試験期間は特に早起きし、朝食をしっかり食べてがんばってほしいと思っています。
100円朝食の取組を始めた頃は、限定100食で3種類の定食メニューを日替わりで提供していました。“とろろごはん定食”や、青森県民にはおなじみの“源たれ肉野菜炒め定食”、弘前市外にはほとんど出回らない赤く長いウインナー“石川ウィンナー定食”の3種類のメニューだったのですが、アレルギーで食べることができない学生がいたという声がありました。毎回100円朝食を食べた学生にアンケートを実施して、内容の改善を図っています。いただいた意見を反映して4年目の今年は、限定150食となり、メニューの数は5種類に増えました。
青森県内の郷土料理を楽しめる弘大生協ならではの取組
― 青森県産の食材を使うだけでなく、郷土料理もメニューにあるんですね!
“青森県産食材を知ってほしい”という思いだけではなく、“青森県の郷土料理を知ってもらいたい”という思いもあります。100円朝食では、ご飯とりんごは青森県産で、津軽地方の郷土料理である“けの汁”と、南部地方の郷土料理である“せんべい汁”を提供しています。100円朝食を食べるまで、せんべい汁は知っていてもけの汁は知らなかったという学生もいました。
他にも、津軽の庶民の味 “いがメンチ”は、100円朝食だけのメニューです。100円朝食全メニューの中で、ダントツ人気の定食で、毎回食堂がオープンする前から行列ができ、すぐに売り切れてしまうほど。
他にも、スタミナ源たれの塩味を使った “源たれ塩野菜炒め” もあります。
2018年に入学した今の1年生は、青森県出身の学生の割合が約45%なので、青森県の郷土料理を知っている学生の方が少ないかもしれません。
青森県は地域によって気候や風土が異なることから、食文化にも違いがあります。地域で異なる郷土料理を食べることができるのは弘大ならでは!ぜひ学生の皆さんには100円朝食を通して知ってもらいたいですね。
2018年度後期100円朝食メニューを紹介
月曜 お魚定食
- サバの味噌煮
- ごはん(青森県産)
- けの汁(1週目)
- せんべい汁(2週目)
- オクラのお浸し
- 15種のヘルシーサラダ
- りんご(青森県産)
- 牛乳(青森県産)
火曜 ハンバーグ定食
- ハンバーグ(とろーり卵のせ、キャベツ添え)
- ごはん(青森県産)
- けの汁(1週目)
- せんべい汁(2週目)
- ほうれん草の胡麻和え
- 薩摩芋の甘露煮
- りんご(青森県産)
- 牛乳(青森県産)
水曜 源たれ塩野菜炒め定食
- 源たれ塩野菜炒め
- ごはん(青森県産)
- けの汁(1週目)
- せんべい汁(2週目)
- 煮たまご
- ひじき煮
- りんご(青森県産)
- 牛乳(青森県産)
木曜 いがメンチ定食
- いがメンチ(キャベツ添え)
- ごはん(青森県産)
- けの汁(1週目)
- せんべい汁(2週目)
- 豆たっぷりヘルシーサラダ
- りんご(青森県産)
- 牛乳(青森県産)
金曜 チキンチーズカツ定食
- チキンチーズカツ(キャベツ添え)
- ごはん(青森県産)
- けの汁(1週目)
- せんべい汁(2週目)
- 半熟卵
- ほうれん草の胡麻和え
- りんご(青森県産)
- 牛乳(青森県産)
※写真の汁物は、1週目の「けの汁」です。
弘大生を食事の面から支えていくのが弘大生協
― 弘大生の食事情についてどう思っていますか?
弘大生は、意外に食事に気を遣っているなあ、という印象ですね。
というのも、メニューを選んでいるとき野菜を食べようと悩んでいる会話が聞こえてきたり、ご飯を購入して発行されるレシートを見て、バランスの良い食事が摂れていないという会話をしているのをよく耳にします。
生協で食事を購入すると、レシート下部に「赤・緑・黄」の表記があるんです。3群点数法というもので、その数値を見て「緑、全然摂れてないなあ」という会話をしている学生も見かけます。
※この3つの食品群から点数配分にそって食事をすることにより栄養バランスがとれる方法。
― 食事に気を遣っている弘大生から弘大生協への要望などはあるのでしょうか?
弘大の食堂Horestには、食堂への意見を紙に書いてBOXに投函する一言カードがあります。そこから意見を多くいただきます。
以前、全国のご当地グルメを食堂で食べることができる企画を実施したとき、「自分の地元の食べ物がメニューになってない」という意見がありました。意見を書いてくれたのは静岡県出身の学生だったので、要望を叶えるべく、はるばる静岡から富士宮やきそばを取り寄せました(笑)。
でも、本当に静岡で食べられている富士宮やきそばがこの味なのかどうか、私たちにはわからなかったので、メニュー化する前に静岡県出身の学生に試食をしてもらい、本格的な味を追求しました。
100円朝食を食べていた学生にインタビュー!
― 期間限定の100円朝食が実施されることは何を見て知りましたか?
「ポスターを見て知った」「生協のTwitterで」「弘大の新入生サポートセンターの方から聞いた」など、学生はいろいろな方法で100円朝食の情報を得ることができるようです。弘大公式HP、Facebook、Twitterでも情報提供しています。
― 普段は朝食を食べて授業に臨んでいますか?
「普段はほとんど食べていない」「週1~2日食べればいい方」「食べているがパンだけになってしまったり、バランスが取れている朝食ではない」など、100円朝食以外でしっかり朝食を食べている学生は少ないようです。
― 100円朝食についてどう思いますか?
「安くておいしい!」「100円朝食がきっかけで青森の料理を知った」「家で魚を焼いて食べるのが面倒なので自然と食べなくなっていた。魚を食べることができてうれしい!」という意見がありました。
大学生活の中で、食堂のご飯を食べるとホッとできる
そんな存在の弘大生協
― 最後に高校生の皆さんへ一言お願いします!
高校生まで実家で育つ人が多いと思うので、弘大生協の食堂では馴染みのある家庭料理メニューを用意しています。
弘大に入学し、自分で自分の食べるものに責任を持つようになったとき、「苦手なものを食べられるようになる」「食わず嫌いだったものにも挑戦しよう」、というように、少しずつ食生活を改善できるような手助けができればと思っています。
食事はバリエーションも多く、地域によって違っていたり種類がたくさんありますよね。初対面の人と会話するときにも、食事は話題になりやすく会話が広がっていくんです。
食べ物に対する考え方が変わる時期が高校生ぐらいだと思うんですよね。大学生になることがきっかけで実家から離れて暮らす方も、実家から通われる方も、これからは学業だけではなく、食べることが自分の身体づくりにつながることを意識し、「食」を楽しむ生活をしてほしいと思っています。
column身近な存在 弘大生協をもっと知ろう!
ミールカード
弘大生協で使用できるミールカード。毎日、朝・昼・晩など食堂を多く利用する方にとってはお得なカードです。予め1年分の金額を支払うため、お財布を心配せずに食堂を利用することができます。節約のために朝食や昼食を抜く、といった心配もなくなります。