卒業生の活躍をご紹介する『卒業生インタビュー』、第15回に登場するのは、日本航空株式会社 青森支店でJALふるさとアンバサダーとして働く葛西 恵理(かさい えり)さんです。
葛西さんは客室乗務員と並行して、青森県の地域活性化のために活動するJALふるさとアンバサダーも務めています。そんな葛西さんに、現在の仕事を選んだきっかけやJALふるさとアンバサダーの活動内容、将来の展望などを伺いました。

旅を通じて、人と人との出会いを繋ぎたい

— 就職の経緯・理由を教えてください。

飛行機が好きで客室乗務員の仕事に憧れの気持ちを持っており、大学1年生の時に就職セミナーで客室乗務員の仕事について詳しく知る機会がありました。
客室乗務員は、お客さま一人ひとりの心に寄り添ったおもてなしを提供する機内サービス要員としてだけではなく、保安要員としてお客さまの安全を守る、という責任ある仕事であることに魅力を感じました。
また、私自身旅先での人との出会いが人生の貴重な財産となっており、お客さまの旅のお手伝いだけではなく、人と人との出会いを繋ぐことで貢献できたら、という思いもあり志望しました。
現在の職場である日本航空株式会社への入社を決めた理由は、説明会、面接において担当してくださった社員の皆さまの言葉が優しく温かかったからです。この会社で働きたいと強く思い、入社しました。


— お仕事の概要、現在のご自身の主な仕事内容を教えてください。

客室乗務員として国内線、国際線に乗務しています。
客室乗務員はお客さまを安心・安全に目的地までお連れすることがお仕事です。お飲み物・機内食の提供や機内アナウンスなどの機内サービス業務のほか、搭乗前の機内確認、非常用の設備案内などの保安業務も行っています。
現在は生まれ育った青森にUターンし、客室乗務員と並行して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした地域資源を活用したコンテンツの創出や、商品開発など地域課題に対する企画の提案などを行うJALふるさとアンバサダーも務めています。

青森ねぶたに参加しPR活動をする葛西さん

お客さまに心から笑顔になってもらうことが喜び

— 客室乗務員の仕事をしていてやりがいを感じるのはどんなときですか?

「JALに乗ってよかった。またJALに乗るよ。」「楽しいフライトだった。ありがとう」など、お客さまから褒めの言葉をいただき、心からご満足いただけた時にやりがいを感じます。
私たちの仕事は一人ではできません。全員が心を一つにして、仲間を信頼し、チーム一丸となった時に最高のサービスが生まれます。よく先輩方から「お客さまのことを思い、して差し上げたいと思ったことはなんでもやってみてください」とアドバイスをいただきます。一人ひとりが最大限挑戦し力を発揮できる環境があります。私たちはお客さまとの会話から、その方に喜んでいただくためにはどうしたらいいのかを仲間と一緒に考えます。お客さまの記念のフライトであれば、みんなでメッセージカードを作成してお祝いするなどしています。
お客さまに心から笑顔になっていただくことが私の喜びです。

生まれ育った青森の活性化に貢献していきたい

— JALふるさとアンバサダーについても伺います。着任までの経緯と、選出された時の気持ちをお聞かせください。

JALふるさとアンバサダーは、自身の故郷やゆかりのある地域の活性化のために仕事をしたいという想いを強く持つ、社内公募にて選ばれた客室乗務員から構成されています。2021(令和3)年にJALふるさとアンバサダーの社内公募があり、ずっと自分が生まれ育った青森に貢献したいという思いを持っていたので迷わず応募しました。自分が選ばれた時はとても嬉しかったです。


— JALふるさとアンバサダーでやりがいを感じるのはどんなときですか?

地域のみなさまとの絆を大切に、客室乗務員として得た知見を活かし、地域課題に対する企画のご提案などを行い、地域活性化に繋がった時にやりがいを感じます。
「JALふるさとプロジェクト*」の一環で、青森市の菓子の製造・販売を手掛ける「二階堂」さまと、青森八甲田の雪の回廊をイメージしたホワイトチョコレートのバームクーヘン「HAKKODA 雪の回廊」、縄文をイメージしたチョコレート「JYAWAMEKI(じゃわめき)」の商品開発をしました。数多くの試作品の試食を重ね、味の検討はもちろん、見た目やサイズなど客室乗務員の経験から得た知見をもとにアイデアを出しました。
発売時には青森県庁で報道陣にもお披露目され、青森の魅力を多くの方に知っていただく機会となりました。

*JALふるさとプロジェクト…ヒト・モノ・地域をつなぐ航空会社として、「全社員一丸」+「オリジナリティ」+「継続性」のキーワードのもと、より一層に寄り添い、ふるさとへの想いをもつ全社員が一丸となって地域の課題解決に取り組むことを目的としたJALの地域活性化活動。

弘前大学人文社会科学部
ホワイトチョコのバームクーヘン「HAKKODA 雪の回廊」
弘前大学人文社会科学部
極彩色のチョコレートを勾玉型で表現した「JYAWAMEKI」


その他にも弘前ねぷた300年祭をPRするため、弘前ねぷた開催期間中、羽田=青森線において弘前ねぷたオリジナルペーパークラフトを機内に飾りました。ペーパークラフトにはひろさき産学官連携フォーラム「りんご/さくら和紙研究会」の皆さまが研究されている、りんごの剪定枝から作られた和紙を使用しました。

弘前大学人文社会科学部
JALの航空機に展示したミニねぷたのペーパークラフト
弘前大学人文社会科学部
葛西さんとりんご/さくら和紙研究会の山科URA


学生時代からりんごや桜の剪定枝が大量廃棄されているのはもったいない、何かに活用できないかと思いながら過ごしていたので、剪定枝の有効活用の取り組みをご紹介できたときは嬉しかったです。
これからもこのような取り組みをSDGsの活動の一環として推進、PRすることで弘前市の魅力を全国の人に知ってもらい、地方創生、地域活性化につなげていきたいです。

飛行機をイメージした金魚ねぶた提灯。本体と尾翼の部分はりんごの剪定枝を原料とした和紙を使用

心からフライトを楽しんでもらえる環境づくりを

— 今後、どのように働いていきたいですか?将来の展望などを教えてください。

現在、リードキャビンアテンダントとしてエコノミークラス、ビジネスクラスの責任者、国内線小型機の責任者として乗務しています。
今後は国内線の大型機、国際線の客室責任者のチーフキャビンアテンダントになることが目標です。責任は今までよりも重くなりますが、その分やりがいを感じられると思います。
現在の青森でのふるさとアンバサダーの経験を活かして、お客さまに最高のサービスをお届けするため、共に働く仲間に心からフライトを楽しんでもらえる環境づくりとサポートができるチーフキャビンアテンダントを目指したいです。


飛行機金魚ねぶたを持つ葛西さん

ゼミで培った、チームワーク力とコミュニケーション力

— 学生時代について教えてください。大学生活で印象に残っていることはありますか?

一番印象に残っていることは、ゼミ活動で地域活性化について学んだことです。
フィールドワークでは地域の方からお話を聞いて、地域にどのような思いを持っているかなど直接聞くことができました。本や講義では学べないことを学ばせていただき、その時にお話を伺った方々との出会いは私にとって財産となっています。また、ゼミではチームワークの大切さも学びました。ゼミはチームで動いていたので、そこでチームワーク力・コミュニケーション能力も培われたと思います。


さまざまな価値観に触れ、自分の世界を広げてみて

— 弘大生やこれから大学を目指す受験生へメッセージをお願いします。

学生生活では仲間を大切に、今しかできないたくさんのことに挑戦してみてください。多くのことを吸収、成長できる時期だと思います。そして、さまざまな価値観に触れ自分の世界を広げていってください。また、就職活動は自分の可能性を信じて、最後まであきらめずに頑張ってください。皆さんに素敵な企業とのご縁があるよう応援しています。


JALふるさとアンバサダーとしてこのような活動も!

JALふるさとアンバサダーとして、マナー講座やりんごの収穫体験を行いました。
マナー講座では、弘前市の観光業に従事されている方を対象に、見だしなみやコミュニケーションの心得、立ち振るまいなどおもてなしの基本などをお伝えしました。
りんごの収穫体験では、青森市内の観光リンゴ園で収穫体験を含めた視察を行いました。りんごの収穫体験は小さなお子さまからご年配の方まで幅広い年代の方に楽しんでいただけると思いますので、青森のりんごを観光コンテンツとして開発していき、多くの方に青森に来て体験していただきたいです。

弘前大学人文社会科学部
マナー講座の様子
弘前大学人文社会科学部
りんご収穫体験の様子

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Profile

日本航空株式会社 青森支店
JALふるさとアンバサダー
葛西 恵理さん

人文学部(現:人文社会科学部)情報マネジメント課程卒 。
弘前学院聖愛高等学校卒業後、2004年弘前大学人文学部(現:人文社会科学部)・情報マネジメント課程へ進学。保田宗良教授の研究室に所属。 2008年4月JALウェイズ(現:日本航空株式会社)客室乗務員として入社。2016年に国内線フライトインストラクターとして乗務。2017年にリードキャビンアテンダント、2018年に小型機先任客室乗務員となる。2021年4月に地域事業本部JALふるさとアンバサダーに就任。東北地方における地方創生、地域活性化施策の企画・立案業務を担当している。